00:08今からおよそ40億年前、地球で最初の生命が生まれたのは海。
00:22しかし現代に至っても、人類は生命の揺りかご、海中について十分なデータを持ち、その資源を活用しているとは言い難い。
00:45中でも深海。水深200メートルを超える太陽光が届かないところには、知られざる世界が広がっている。そんな深海に魅せられた人物がいる。今回のトレイルブレイザー、深海エンジニア伊藤翔平。
01:03日本で唯一深海に対応する水中ドローンの専業メーカーを率い海底のインフラ点検から地形調査海洋環境調査までさまざまな深海調査に携わっている。
01:15分からないものっていうのを、もしかしたらって想像するのって、もう本当可能性は無限ないというか、やっぱりロマンそのものだと思ってますね。
01:32とてつもない水圧。加えて困難な通信状況や寒さなど、過酷な環境に挑む。小型の水中ドローンとしては世界で初めて、深度1000メートル付近に到達。
01:41その深度での生物調査を実施した。
01:58もしかしたら黄金鏡みたいなのもあるかもしれないし、全然見たことのない生き物だったりとか、風景っていうのも当然あると思いますし、そういったものを解き明かしていくっていうのに、自分の人生が疲れるっていうのもすごく幸せなことだなと思いますね。
02:27未知なる世界への挑戦を続ける深海の開拓者その活動を追った皆さんこんにちは今回から番組のナビゲーターを務めさせていただきます。
02:54ノットイコールミーの谷沢萌子です。この番組では次なる日本の革新者たち、トレイルブレイザーズを発掘していきます。今回のトレイルブレイザーは深海エンジニアの伊藤翔平さんです。日本で初めて水中ドローンに特化したメーカーを創業し、自らも研究開発に携わる伊藤さん。
03:05創業したフルデプスという会社の命名からも、深海での探査活動への伊藤さんの強いこだわりが感じられます。
03:16水中ドローンが切り開くもの、とりわけ深海での活動を通じて見えてくる魅惑の世界を伊藤さんと一緒に見ていきましょう。
03:32茨城県筑波市。ここに日本初の水中ドローン専業メーカーが作られた。名前はフルデプス。海洋調査で深海の最深部を意味する。
03:51開発・製造が進んでいるのは、産業用の水中ドローン。得られたデータの解析も行う。海洋での調査・点検に、水中ドローンが活用されるようになったのは、2019年くらいからのこと。
04:16ダイバーによる目視に頼っていた時代から、活動の幅が飛躍的に広がった。洋上風力発電や災害救助、海洋での生物多様性を守る環境調査。水中のデータを生かしたスマート水産業など、最近のトレンドとなっている分野にも関わっている。
04:42中でも根強い需要があるのが、老朽化が社会問題となっているインフラの点検だ。点検を行うのは、ダムの水面下の部分、橋脚など。さらには下水道など、人が入れないところもカバーする。潜水士不足の解決というメリットもある。
05:04なんといっても、伊藤の水中ドローンが進化を発揮するのは、深海での調査。そこに注目して、伊藤と共同作業を行ってきた水族館がある。水族館の売り物は、相模湾の海中を再現した相模湾大水槽。
05:19さらに、浅瀬から深海まで深度ごとの水槽が展示されている。
05:30これまで伊藤の会社と深海での共同探査を行い、130種以上の生物を確認してきた。
05:41やっぱり実際に海の中で泳いでたりとか、どんなところにいてっていうのは、書物とか言われていても、我々も目にする機会があまりないですし、
05:50こういう場所にいるんだねっていうのは、この目で見るっていうことができるっていうのは、もうドローン様々というか、やっぱりあってのことだと思います。
06:10調査で確認された数多くの生き物が、水族館の常設展示に生かされている。伊藤が水族館と共同で行う調査に同行させてもらった。
06:25深淵の島水族館さんの皆さんと一緒に相模湾の深海の生き物の調査と、あと私としては機材のテストみたいなのも兼ねさせていただいているんですけども。
06:53調査をして、捕獲などもして展示されたりとかっていうことで。そうですね。あとはどんな生き物がいるかとか全部チェックしてますので、そういうのを一応まとめてはいます。生き物がどんなところにいるのかを全部分かるようにしたいので、そんなことも一緒にやらせてもらってます。調査に使うのは漁船。伊藤が手掛ける水中ドローンの特徴は、そのコンパクトさ。
07:23宅配便で送れるサイズで、少人数でも持ち運べる。これまでの深海調査では、しばしば巨大な探査機を搭載した調査船を用い、費用は1日およそ1000万円を超えることも。伊藤が水中ドローンを開発、実用化させたことで、こうした調査が手軽に行えるようになった。
07:38単純比較はできないが、費用は桁違いに少なくて済む。周辺機器もコンパクトだ。観察にはPCサイズのモニター。
07:51操作はゲーム用に市販されるコントローラーで行う。しかし、水中で使う機材は、民製品の寄せ集めというわけにはいかない。
08:16海っていう時点でかなり過酷で、塩水がもう、その機械を使うのには向かない環境ですよね。ですし、実は深いところじゃなくて浅いところでも結構大変で、流れてくる海藻だったりとか、ゴミもそうですし、そういう中で壊れないように、自分にそのものを仕上げていくっていうのは、やっぱりすごく過酷だなと思いますね。
08:32それに耐える強い道具を作っていく必要っていうのがあるかなと思ってますね。さらに深海の温度、水圧への対応。そして水中は電波が通らないので有線でつなぐしかない。
08:44今も現地で試して修正の繰り返しだという。港を出ておよそ20分。いれますか
08:55?いれますかね。調査を予定するポイントへ到着した。神奈川県真鶴町の沖合。
09:18およそ2キロの相模湾だ。相模湾は富山湾、駿河湾と並んで、水深が深いことで知られる。場所によっては1000メートルに達する。これは水中ドローンのカメラ映像。
09:45今回は水深およそ200メートルの海底を目指す。あと20メートルぐらいで着点。はい。そして。あっ、見えた。見えた。着点しました。これが深海およそ200メートルの地点。
10:11一体どんな生物がいるのか。はっ。これ多分ダンゴイカですね。ダンゴイカ。お。最初に見つけたのは、日本各地に生息する、体長10センチにも満たない小型のイカ、ダンゴイカの仲間。
10:21ドローンに装備されたこのホースで掃除機のように深海生物を捕獲するというのだが。
10:43今日着点がめちゃくちゃシビアですね。あー。すっごま。着点してるときは常にスラスターをだいぶ。この場所がだいぶ柔らかい。スラスターがふけてくることもあまり。海底の砂を巻き上げ、なかなか難しそうだ。
10:55しかし、およそ3分後。見事、捕獲に成功。
11:06イカはいます。はい。続いて見つけたこの生物は。
11:23海水を吸い込む口と吐き出す口が並んで位置している少し変わった形のホヤの仲間。
11:33さらに。なんかいそうです。なんかいそうです。指指は動いている。ほんと
11:34?どのような。こっちいっぱい
11:39?いや、こっちじゃないの。顔がこっちっぽいっぽしてて。ねずっぽ
11:52?ねずみこっちってこんなじゃないですか。ねずみこっちはこんなじゃないですか。ねずっぽ的な雰囲気を感じますけど。ねずっぽはこっち。ねずっぽ的な。あー、いいじゃない。あれ。張り口とか。
12:07こっちの一種で深海に住む張り口の仲間と思われる魚を捕獲しようとするも。
12:25さすがに魚はすばしっこく、吸い取ることはできなかった。さらに先行を始めておよそ30分後。
12:44今日一番の歓声が上がった。カメラの先には細長い磯銀着のような生き物が。
13:01本来、より深海にいると考えられていたクラゲ。
13:09オトヒメの花傘の仲間。詳しい生態は分かっていない。
13:33これはいるっちゃいるけど、やっぱり点在しているので、いるところに偶然行かないと見つからないので。浮いたらテンション上がりますね。クラゲの種類によるんですけど、クラゲの親同士で卵が生まれるんですけど、その卵がいきなりクラゲになるタイプと、一回ポリプっていう状態になってから、だんだんクラゲになっていくパターンとあって。
13:58それのポリプっていう状態。ここからちっちゃいクラゲが出てきて、でまた卵を産んでっていう生活を持ってる。すごい大きいポリプなんですね。なんでもクラゲの多くは、卵から孵化した後、磯銀着のようなポリプと呼ばれる状態になって、さらに増殖する。
14:04ただ、これからどのようなクラゲが出てくるのかは分かっていない。
14:23クラゲのポリプも無事回収。
14:38持ち帰って詳しく調べることに。5年前には珍しい種類のコトクラゲを相模湾で79年ぶりに再発見し、捕獲に成功した。
14:49伊藤の会社との共同調査を通じて、新江ノ島水族館では相模湾の深海の展示を充実させている。
15:12もうそこにいるって分かってないと実験とかいけないじゃないですか探しに行くっていうだけで空振りの日とかとかもあるわけなんでそうなるとやっぱりどうしても予算の問題だったりとか時間の問題だったりとかって考えると取り回しが良くてまあ言い方悪いですけどコンボを入れられるような回数稼げるといろんなものが見えてくるっていうのがあるということです。
15:33小回りの良さを生かした伊藤との共同調査。この日最大の収穫は珍しいクラゲの仲間の巨大なポリプだった。持ち帰ったクラゲのポリプは早速展示されることが決まった。
15:54伊藤の水中ドローンによってより多くの人が深海の神秘に触れることになる。伊藤さんが開発する水中ドローンが深海という人類にとって未知に近い領域を開拓し始めていることが実感できました。
16:15水中ドローンが海洋での様々な活動での人類の可能性を広げることにつながっていくんだと思います。そうした伊藤さんの海への探究心はどのようにして育まれたのでしょうか。きっかけとなったのはある深海魚の存在でした。
16:30水中ドローンを開発し、人類にとって未知の世界、深海に新たな光を当てる深海エンジニア伊藤翔平。
16:52伊藤は1987年、神奈川県生まれ。幼少期の愛読書は生き物図鑑と水木茂の妖怪大図鑑。
17:21そこに描かれた生き物のイメージに強く惹かれた。なんかこう、すごく好きっていうよりもすごく気になるっていう感じで。どうなってるんだろうとか。極端な話、本当にいるのかみたいな話だったりとか。やっぱりそういうのが一番強かったのかなと思いましたね。中でも伊藤少年が心惹かれたのが、図鑑にあったあるイラスト。それが。
17:33これがその、孫の頃につかんでみて、今も見たことがなくて、すごく見てみたい。ナガズエエソという魚の絵です。
17:46ナガズエエエソというその深海魚は、尾びれと腹びれが異常に伸び、胸びれも長く発達し、長い杖をついているように見えるのが特徴。
17:52伊藤少年にとって、深海への興味の入り口になった。
18:01シンプルに好奇心だったんだと思いますけれども、そう、なんか、考えるってこう、なんでしょう。
18:09無限大というか、そう答えがないけども、そういうこともあるかもね、みたいな、そういう入り口、やっぱりすごい気になりましたね。
18:25一方で、趣味でパソコンを自作するほどのメカ好きだった父親の影響で、高校時代には電気回路やソフトウェアの知識を身につけ、ものづくりの楽しさも知っていった。
18:53ものづくりは、それこそ授業での技術家庭科とかですか、中学校だと。そういうので、他の人と比べて、もしかしたらこれは得意かもしれないっていうふうに思えるものだったので、なんで、将来はこっちの仕事をすごいしたいなっていうふうに思って、もう中学校の時には、将来発明科になってっていうのと、高校からの心理をその工学の方に振るっていうのを決めて動いてきました。
19:19やがて進学した筑波大学では、ロボット工学を専攻。アルバイトも兼ねて、ロボットや電気自動車の部品の開発などにも携わった。普通の大学生の数歩先を行く経験を重ねたはずが、どこかで子供の頃持っていた情熱を失いかけていたという。
19:33同年代の子と比べると、ちょっとできる気持ちになってしまっていたというか、それでもうこれで仕事できるから、別に勉強もまあいいかなみたいな。
19:41来てくるってわけじゃないですけども、なんか昔ほどなんかこう作るのが、だんだん楽しい気持ちっていうのが、なくなってきて。
19:50そんな頃、偶然テレビで目にしたのが、子供の頃に図鑑で見ていた長津栄草の映像だった。
20:04長津栄草って水深600メートルから1100メートルとかなり深いところに生きている生き物で、それってどうやって撮影しているんだっけっていうのを、そのとき初めて気になって。
20:26それはもう無人探査機っていわゆる大型のロボットで撮影してたんですけどもまたこの長津エースにあって改めて自分で作ってみたいものやってみたいことっていうのが出てきてそこからもうどうにかこうにか自分の作ったロボットで深海に行って長津エースを見るぞっていうことをやり始めました。
20:53卒業後は大学在籍時からアルバイトをしていたベンチャー企業を経て、20代の終わりには日本初の水中ドローンの専業メーカーを設立するに至った。創業から4年、2018年にはバッテリー駆動型の小型水中ドローンとしては世界で初めて水深1000メートルに到達と発表。
21:18その後、会社では高性能水中ドローンの製造開発だけでなく、それを使った様々な深海調査も行っている。2020年にはウェブメディアから35歳以下の才能あるイノベーターの一人として発明家の部門で表彰された。
21:35そんな伊藤がこれから取り組みたいと思っているのは、海の底という知られざる世界のデータを幅広く収集し、誰も見たことがない深海の海図を作ること。
21:44Googleのストリートビューってあるじゃないですか。あれの深海版みたいなのが完成できたら、それはもう一つ自分の中ですごく達成できたことだなと思っていて。
21:50その目的である深海を調べるというのに必要なものというのをどんどん作っていくということなのかなと思っています。
22:12子供の時に見た図鑑の中の差し絵がなんだか妙に心に残る。そんな体験ありますよね。でも伊藤さんのすごいところは、子供の時に抱いた興味あるいは好奇心を今も追求し続けていることだと思います。
22:34深海という未知の世界について、より多くを知りたい、そして見てみたい。そんな伊藤さんの純粋な気持ちが、人類の可能性を広げることにつながっています。さて、伊藤さんは今、どんな活動に力を入れているのでしょうか。伊藤さんの最新のチャレンジを見てみましょう。
23:02伊藤の新たな挑戦の舞台。それは沖縄本島から300キロ以上東に位置する大東諸島。最大の島は南大東島だ。大東諸島では、Dアークと名付けられた深海洞窟の調査が進行している。伊藤はその中心メンバーの一人だ。
23:32Dアークは、深海洞窟での生物多様性を調べるプロジェクト。海洋に関する研究開発を行う政府系の機関、ジャムステックが主導して進めている。大東諸島の深海洞窟は、最近になってその規模の大きさが明らかになり、独自の生態系などから世界のダイバーの注目を集めている。
23:53調査では、伊藤が開発した水中ドローンも活躍。Dアークでは、深海洞窟の生物多様性を本格的に明らかにしようとしている。
24:05そして、もう一つ伊藤の闘争心をかきたてるのが、あの長杖エソ。
24:152019年から深海プロジェクトを立ち上げ長杖エソに出会うチャレンジを開始した。
24:29これまで泳いでいる映像は国内で数例ほどしかなく、自身もいまだ遭遇していない。
24:39少年の心を忘れずチャレンジを続ける伊藤。
24:51深海という未知の世界で、新しい景色を発見したい。伊藤の試みはこれからも続く。
25:12もしかしたら黄金鏡みたいなのもあるかもしれないし、全然見たことのない生き物だったりとか、風景っていうのも当然あると思いますし、そういったものを解き明かしていくっていうのに、自分の人生が使えるというのはすごく幸せなことだなと思いますね。伊藤の方には少しでも解き明かしたいなと思います。
25:40レアアースに象徴されるように、深海に眠るさまざまな資源は世界的に注目されています。まだまだわからないことが多い深海の世界。そこでさまざまな可能性を開く先駆けとして、水中ドローンにかかる期待は大きいものがあります。伊藤さんの挑戦、今後も注目していきたいですね。トレイルブレイザーズ。
25:44次はどんな日本の隠し者たちに出会えるのでしょうか。
25:47ご視聴ありがとうございました。接意ありがとう。いいね
25:49!アーモンド。空北東。エモリの顧客ルティア。
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