00:01都会から離れた小さなこの町に一人の桃源家の工房があった
00:06俺の名前はシンタティサトル
00:09この町に移り住んでからもうかれこれ一年になるわ
00:13すみましょう
00:17あの工事現場の音やかましくてたまんないぜ
00:21もうすぐ古典だったのに
00:23次の古典に俺は賭けていた
00:26これを成功させて名を挙げることができれば
00:30この貧乏生活からもおさらばできる
00:32くしょうるせってきてんだよ
00:36なんてことだ一番の自信作だったのに
00:43俺は怒りを鎮めるため散歩に出かけることにした
00:48そしてあの不思議な老婆と出会ったのだ
00:54ばあさんこの工事なんとかならんねえのかな
00:57ん?集めるチリトリ
01:01なんだいその集めるってのは
01:04集めるという意味でございます
01:07だから何を集めるんだよ
01:10それはお買いになった方だけが分かるのでございます
01:14ちょうどチリトリも持っていないし
01:17壺の破片も片付けなきゃならないしな
01:19よし買うか
01:21ばあさんいくらだい?
01:23100円でございます
01:25100円か
01:27安いじゃないか
01:29お買い上げありがとうございます
01:32集めるチリトリって
01:35考えてみたらチリトリはゴミを集めるもんじゃねえか
01:39当たり前といえば当たり前だな
01:42なんだこれ
01:47嘘だろ
01:49ま、まさか
01:50この集めるチリトリって
01:52自然にゴミを集めてくれるってことなんか
01:54そうか
02:00元に戻っていく
02:02そうか
02:03集めるチリトリは壊れたものを寄せ集めて
02:07元の形に戻してくれるチリトリだったのか
02:10壺が元の土に戻っちまった
02:17いくらなんでも元に戻りすぎだぜ
02:20くそ
02:22あのばあさんこれが喜びさせやがって
02:25ばあさん
02:27なんなんだよ
02:29あの集めるチリトリってのは
02:31ん?
02:33集めるスポンジ?
02:36今度はスポンジかよ
02:37このスポンジで何を集めるって言うんだ
02:40それはお買いになった方だけが分かるのでございます
02:45またそれか
02:46うん
02:47ばあさんいくらだい?
02:49300円でございます
02:51まあいいか300円だ
02:54お買い上げありがとうございます
02:56集めるスポンジか
03:01今度は何が起こるのかな
03:05ちょっと皿でも拭いてみるか
03:08何も起こらないな
03:12どうやって使うんだろう
03:15くそ
03:19ただのスポンジじゃねえか
03:22ああ
03:24音が
03:29聞こえなく
03:30どういうことだ
03:35俺の声が聞こえない
03:37それに今までうるさかった工事の音も完全に消えてるぞ
03:41外はどうなってるんだ
03:42うわーなんだ
03:47外はうるさいまんまじゃないか
03:49音がしない
03:55どういうことだ
03:59まさか
04:01あのスポンジが音を吸い込んだのか
04:05そうか
04:08そういうことか
04:09この集めるスポンジは
04:12周りの音を全部集めて
04:14吸い取ってくれるスポンジだったんだ
04:16こうして俺は
04:18静かな環境を手に入れることができた
04:20しかし俺は
04:21自分の作品の出来に
04:23今一つ納得できずにいた
04:25ばあさん
04:30やあ
04:32この前のスポンジは良かったよ
04:34だけどさ
04:35いまいちいい作品ができないんだよ
04:37集めるまんじゅう
04:40今度は何を集めるんだよ
04:43それはお買いになって
04:45ああわかった
04:46買うよ
04:47いくらだい
04:48500円でございます
04:50はいよ500円
04:51お買い上げありがとうございます
04:53集めるまんじゅうか
04:59このまんじゅうを食べると一体何が集まるのかな
05:02あ
05:04あ
05:05あ
05:05あ
05:06あ
05:06あ
05:06あ
05:06あ
05:06あ
05:06あ
05:07あ
05:07あ
05:08あ
05:08あ
05:09あ
05:10あ
05:11あ
05:12あ
05:13なんだよこのまんじゅう
05:15集めるってアリを集めることだったのか
05:18ん
05:20アリが何か加えているぞ
05:23アリが土を加えている
05:28これはひょっとしたら
05:30この手触り
05:33この滑らかさ
05:35こんなに素晴らしい土は初めてだ
05:37これで焼き物を作ればきっと最高の作品が仕上がる
05:42そうか
05:43この集めるまんじゅうは
05:45アリたちが峠で使う最高の土を集めてくれるまんじゅうだったんだ
05:49こうして俺は静かな環境と最高級の土を手に入れることができる
05:55これだけの条件が揃えば
05:57俺の作品も人々に認められるに違いない
06:00そして俺はいよいよ古典の日を迎えた
06:05きっと大勢の人々がこのギャラリに詰めかけるはずだ
06:10しかし俺の予想に反して客は全然入らなかったのだ
06:16どうして俺の作品が認められないのかな
06:21ばあさん
06:24ばあさん
06:26やっぱり俺には実力ないのかな
06:30集めるやつで
06:33集めるって
06:35一体何が集まる
06:37いや分かってる
06:38買うよ
06:39いくらだい?
06:405000円でございます
06:415000円?
06:43ちょっと高いけど
06:44まあいいか
06:46お買い上げ
06:47ありがとうございます
06:48工房に戻り
06:52俺は早速その集める絵筆を使って
06:55自分の作品の絵付けを始めた
06:57きっとこの集める絵筆の力は
07:03気が集まる
07:05つまり集中力をつける絵筆なんだ
07:08そうに違いない
07:10俺は絵筆を使い
07:13次々と作品を作っていく
07:15そして俺は2度目の古典の日を迎えた
07:18な、なんだ
07:20この人だがりは
07:22そうかそういうことか
07:29この集める絵筆で出付けをした作品は
07:31人々を呼び集め
07:33つまり
07:34人気を呼ぶ絵筆だったんだ
07:36集める絵筆で出付けした俺の作品は
07:40瞬く間に大ブームを巻き起こした
07:43俺が元々持っていた才能なのか
07:48それともこれも絵筆の力なのか
07:51ともかく俺はこうしてついに夢にまで見た一流陶芸家と呼ばれるようになったのだ
07:57世間がやっと俺を認めてくれた
07:59これほどの幸せはない
08:01俺は感謝の気持ちでいっぱいだった
08:04しかし
08:06今日も大盛況だったな
08:12新谷先生
08:14作品展の成功おめでとうございます
08:17ありがとう
08:20君を?
08:22私、日本美術館のものなんですが
08:24こちらでもぜひ先生の作品展を開きたいと思いまして
08:28日本美術館で作品展を
08:31ええ
08:32それで詳しいお話をさせていただきたいのですが
08:36俺はその女の言葉を信用し
08:39彼女についていった
08:40ようこそ
08:45だがそれは
08:48俺を拉致するための罠だったのだ
08:52俺は人里離れた山の中の工房に連れて行かれた
08:55何をするんだ
08:57君たちは一体何者なんだ
09:00私たちはある宗教団体のメンバー
09:04宗教団体?
09:06そうよ
09:06部屋の奥をご覧なさい
09:09その窯を使って
09:12あなたには壺を焼いてもらう
09:14壺だと?
09:16そう
09:17あなたの作るものには
09:19人を惹きつける魅力がある
09:21その力を私たちの布教活動に役立ててもらいたいの
09:26不教活動だって
09:27あなたの壺なら
09:29人々はどんなことをしてでも手に入れたいと思うでしょ
09:32欲しければ教団に入り
09:34砂漠のお伏せを収めなければならない
09:37きっと世界中から壺を求めて
09:40入信者が殺到するわ
09:41何をバカだ
09:43断る
09:44そんなことには協力できない
09:46待って
09:46逃げられないわよ
09:52ここは人里離れた山の中
09:55助けを呼んだところで誰も来ないわ
09:57さあ
09:58大人しく仕事に取り掛かることね
10:00確かに集める絵筆で出付けしたものならば
10:04人々は買い求めるに違いない
10:06しかしそんなことをすれば
10:09多くの人々を不幸にすることになる
10:11この
10:12この絵筆がいけないんだ
10:16この絵筆されなきゃいけないんだ
10:19この絵筆を手放せば
10:23俺は元の貧乏陶芸家に戻ってしまう
10:26しかし
10:27どう?決心はついた?
10:38エフレは燃えてしまったんだ
10:39俺にはもう人を集める力なんかないんだ
10:43何わけのわからないこと言ってるの
10:46どうしても言うことを聞かない気なら
10:48なにこの人だかりは
11:05警察だ
11:07警察だ
11:09罪名にしろ
11:10警察
11:11どうしてここが分かったの
11:14こうして大勢の人々と一緒にやってきた警官によって
11:20俺を拉致した犯人たちは逮捕された
11:23どうして人々がここにやってきたのか
11:26俺には訳が分からなかった
11:28そうか
11:35そう
11:36彼を救ったのは
11:38集めるエフレの力だったのである
11:41窯の中で焼かれた集めるエフレは
11:45煙となって煙突から空へと舞い上がっていった
11:49それを見た人々は煙が立ち上る山小屋を目指して
11:54集まってきたのだった
11:56集めるエフレは燃えて煙になっても
12:00大勢の人々を呼び集め
12:02神谷の命を救ったのである
12:05集めるエフレを失った俺は
12:09再び元の貧乏陶芸家に戻ってしまった
12:11しかし
12:13あのエフレのおかげで俺は命を助けられた
12:15この命を無駄にしないためにも
12:18俺はもう一度頑張ってみようと
12:20いつか
12:21人々に本当に感動してもらえるような作品を作るために
12:25今後は
12:30フレのおかげで
12:31レベルエフレのおかげで