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  • 7/20/2025

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00:00Satsang with Mooji
00:37Welcome.
00:39What do you want to find out?
00:41Yes.
00:42I want to wear shoes.
00:47This is...
00:49I want to see the size.
00:52Are you going to be a teacher?
01:00No, I'm not a teacher.
01:07This is...
01:10I want to see this.
01:14This is an impression.
01:18Right?
01:20これはですね有吉人次という画家があの有名な日元移転で大賞を取った作品なんですしかも10代の時に10代でそれはすごいですねでも彼は戦後まもなく将来を期待されているにもかかわらず22歳の若さで死んでしまったんですですから知る人ぞ知る存在であまり多くの人に知られてなかったみたいです
01:49美術館で見られるのもこれ1点きりなんです
01:53溶接の天才画家というわけですね
01:57ところがですね最近になって彼の未発表作がまとめて発見されたんですこれよりすごい作品がいっぱい
02:04おやおやそうなんですか
02:07これを機に彼の解雇展が開かれることになったんです
02:11ほら
02:13あそうそうあのねこの解雇展に合わせて彼の生涯を描いた小説が今日発売されるんです
02:19帯で付き合ってくださいね
02:21いいですね
02:23まあそういうことですのでそろそろ一人いただけませんか私もまだ仕事がありますから
02:35ああ
02:37ああ
02:39ああ
02:41ああ
02:43背中を向けたところ背後から一撃から死後12時間前後というところでしょうかね
03:09室内を物色した形跡はなさそうだな
03:13狂気の指紋は?
03:14残念ながら拭き取られているようです
03:17すいません
03:19被害者このミキプランニングの代表取締役ミキマサヒロさん42歳です
03:25何してる会社なんだ?
03:27大手広告代理店から委託を受けてアートや音楽物販などいろんなイベントを運営しているそうです
03:34被害者業界ではかなりのやり手のようですね
03:38敵が少なくなかったってことか
03:43大借金者は出勤してきたアシスタントの平野さんです
03:47昨夜社員が退社したのが夜の7時頃でミキさんは一人残って社長室でデスクワークをしてたようです
03:55平野さん
04:00はい
04:02あの窓は?
04:04あ、社長はタバコを吸うのでよく開けてました
04:07そうですか
04:08という事件なんですが、銀座で起きた事件ですね、昼のニュースでやってました
04:14で、気になる点というのは
04:17実は狂気の灰皿以外に室内でもう一つ指紋が拭き取られていたものがあるんです
04:23このデスクの上の電話なんですが、受話器とプッシュボタンの所の指紋がきれいに拭き取られているんです
04:29犯人がどこかに電話したんじゃないですか?
04:31事件灯用の通話記録はありません
04:33なるほど
04:34それは興味深いですね
04:36犯人が謝ってこんな風に手をついた
04:40謝り方は不自然じゃないですか
04:43冗談です
04:45これは、新刊案内ですかね?
04:47ああ、それは、これですね
04:52被害者が倒れた表紙にコーヒーがかかってしまったようで、指紋の採取は難航してます
04:57エンターメディア出版新刊案内
05:00これって、よく単行本に最初から挟まれているアレですよね
05:03米澤さん、ミキさんのオフィスで受け負っていたイベントのリストはありますか?
05:08はい、被害者のパソコンの中にありましたので、プリントアウトしておきます
05:12どうもありがとう
05:13新刊案内がどうかしたんですか?
05:16昨日発売されたエンターメディア出版の新刊本に、アレと同じ新刊案内が挟まれているのを見たんです
05:24今月発売のエンターメディア出版の新刊はこの5冊
05:29あの新刊案内が挟まれていたのは、この本ではないでしょうか
05:34筆折れ命はつるまで、溶接の天才画家有吉仁次の生涯
05:40ええ
05:41ん?
05:43あ、確かに被害者が受け負っていたイベントの中に有吉仁次の解雇点がありますね
05:49昨日、僕が買ったのも、同じ本なんですよ
05:55ある?
05:56まあ、岩部さんが有吉仁次のファンだなんて、嬉しい
06:02え? あ、いや、僕も玉木さんと同じ趣味だなんて、光栄です
06:08絵を見ていればもっと良かったですね
06:11あら、見てないんですか?
06:13ああ、僕はむしろ、なんていうのかな、この本にある有吉仁次の生き様
06:19生き様に深く感銘を受けたんです
06:21彼は確か、長野の高校在学中に日芸院展の大賞を取った後、すぐに肺結核を患ってしまったんですよね
06:28まさにこれからという時に
06:31それでも有吉仁次は軽井沢で療養を続けながら絵を描き続けたんですよね
06:37根っからの画家だったんですね
06:40そしてそこで出会ったアメリカ人の少女と恋に落ちた
06:47けれど、その病のせいでその恋を諦めなければいけなかった
06:53失意と絶望のあまり、最後の絵を自らの手で引き裂いてなくなったんですよね
07:12その引き裂かれた絵も、そのまま今度の解雇展で展示されるらしいですよ
07:16大胆ですね、それは。どんな絵なんです?
07:19晩章というタイトルで夕暮れのアトリエを描いた絵だそうです
07:23あ、その本に書いてありましたね
07:26うんうん、思い出しました。それにしても彼の生き様は本当にドラマチックですよね
07:32まるで映画みたいに
07:34そうですね。でもその本は彼が最後の4年に親友に宛てて書いた手紙を元にしてるんですよね
07:41うーん、そうなんですか
07:43それもその本に書いてありましたね
07:45あれ?ページがくっついてたのかな
07:49解雇展ではその手紙も展示されるそうですよ
07:53友人は坂木さんという人です
07:57お尋ねの有吉ひとしの本、出版社からうちに送られてきたのはこれだけです
08:03まだ開けてないんですね
08:05はい
08:06届いたのは事件の前日ですか?
08:09あちこちに送らなきゃならないんですけど、まだ手が付けられてなくて
08:14ミキさんは本を持っていなかったんですか?
08:16ええ、ミキはゲラを読んでましたから
08:20事件の日、どなたかこの社長室に来客はありませんでしたか?
08:25いいえ、あの日は誰も
08:28そうですか?
08:30有吉ひとしの解雇展の初日が3日後に迫ってるのに、ミキがこんなことになってしまって
08:39あの仕事はミキがほとんど一人で進めてたので、わからないことだらけで
08:45ミキさんがお一人で?
08:47はい
08:48失礼します
08:49平野さん、お客様が
08:51あ、ちょっとすみません
08:53変ですね、このオフィスにある有吉さんの本はまだ全てこの段ボールの中
09:02ミキさんは本を持っていなかった
09:04とすると犯行時現場に落ちていたあの新刊案内はどこから運ばれてきたんでしょう?
09:09有吉さんの本はミキさんが殺害されたその日に店頭で発売されています
09:15じゃあ犯人が本を持ってここを訪れたと?
09:20その可能性は極めて高いと思いますよ
09:27改めまして平野と申します
09:30坂木です
09:33坂木さんとおっしゃいますと、ひょっとして有吉さんが手紙を書かれたご友人の坂木隆平さんでしょうか?
09:41そうですが、あなた
09:43申し遅れました
09:45警視庁特命係の杉下と申します
09:48同じく勘弁です
09:50あの、ミキの事件のことで
09:52有吉さんの本を読ませていただきました
09:55当時、坂木さんは美大に通われてました
09:59今、やはり画家の先生でらっしゃる
10:02平野さん
10:05はい
10:06あなた、坂木隆平という画家の古典見たことありますか?
10:11えっ、あ、いや…
10:13つまり、私は画家ではない
10:17画軸の孔子です
10:20それは失礼いたしました
10:22では、やはり今日は有吉さんのことで
10:25実は、ミキが坂木さんから有吉人次の手紙をお預かりしていて
10:31こんなこともあったので
10:33解雇点に出す前にきちんと揃ってるかどうか
10:36一応、ご本人に確認していただいたほうがいいと思って
10:39なるほど
10:40で、手紙はどちらに?
10:42あ、あちらに
10:44こちらのオフィスには、よくいらっしゃるんですか?
10:49いや、伺ったのは初めてです
10:54そうですか
10:56うん
10:57こちらのオフィスには、よくいらっしゃるんですか?
11:00いや、伺ったのは初めてです
11:03そうですか
11:05絵を教えてらっしゃるそうですが、ちなみにどちらで?
11:12どうしてそんなことを?
11:15実は僕も趣味で常日頃、絵を習ってみたいなと思ってまして
11:20世田谷の大倉、我宿です
11:25でも、あそこはやめたほうがいい
11:28おや、なぜでしょう?
11:30ろくな孔子がいない
11:32私を含めてね
11:35あの、榊さんって人、控えめに言って相当偏屈な人ですよね
11:44こんなところにも、教会があるんですね
11:54ほんとですね
11:57って、あの、聞いてます?僕の話
11:59聞いてますよ
12:00杉下さん、絵を習うつもりなんてないでしょう
12:03はい
12:04杉下さんが、榊さんに興味を持ったことぐらいは分かりますよ
12:07あの、手紙の箱ですよね
12:09君も、気がつきましたか?
12:12はい
12:13あのテーブルには、箱が3つありました
12:16しかし、榊さんは、平野さんに尋ねることなく、迷わず、あの箱を選びました
12:23初めてオフィスに来た榊さんに、3つのうち
12:26どうして、あの箱に手紙が入っていると分かったのでしょうね
12:31うちへ来る前も、いろんなガジックをてんてんとしてたみたいですよ
12:36あの人に、講師の仕事が向いているとは思いませんからね
12:42と、おっしゃいますと
12:45いや、ガジックもお客商売ですからね
12:49多少の生徒をおだてるっていうか、喜ばしてやらないとね
12:54まあ、その点、あの人は、てんでダメですからね、でしょうね
13:00まあ、目が出なかった画家の典型ですね
13:05若い時はね、納得できる絵が描けたら、それをもって一人で銀座界隈の画廊を回っていたようですけどね
13:17榊さんと有吉さんは、非常に対照的な人生ですね
13:21有吉さんは10代にして、総塾の天才画家と呼ばれ、短い人生を閉じた
13:27一方、榊さんは80歳近くまで、不向きな仕事を続けながら、絵の周辺を点々としてきた
13:34確かに、でもそれが事件にどう繋がるんでしょうか
13:38それは、まだ僕には分かりません
13:41どうぞ、お構いなく
13:56榊さんはずっと絵を描き続けていらっしゃるんですね
14:00いや、年寄りの趣味です
14:03まあ、今更新しい趣味見つけるのも具でね
14:08あれ、描きかけの絵ですね、拝見してよろしいでしょうか
14:12いや、悪いが、私ね、あの、描きかけの絵、人に見せるの好きじゃないんでね
14:20ああ、これは失礼
14:22しかし、本当に絵がお好きなんですね
14:26いや、うちにいると他にすることもないから、まあ、もともとデビューショナーたちでね
14:31しかし、銀座の紳士服店にはいらっしゃる
14:35あれは、銀座山形屋の封筒ですよね
14:41何か買い物をされたんですね
14:46それで、お聞きになりたいことというのは
14:51この本のことなんですが、榊さんもお持ちですよね
14:55いえ
14:56ご自分が提供された手紙が元になった小説に、ご興味はありませんか
15:02私の手紙が元なら、別に新しいことも書いてないでしょう
15:06その有吉さんからの手紙なんですが、どういう経緯で三木さんに提供されることになったか、教えていただけますか
15:13三木さんが訪ねてきたんです
15:15長野の同窓生から有吉と私が親しかったと聞いてね
15:20有吉の未発表の絵が25点、まとまって発見されたから、開庫店を企画している。ついては、有吉の遺品を何か持ってないかと聞かれましてね
15:34なるほど。それで有吉さんからの手紙はお店になった。
15:41そうですか。この本によりますと、有吉さんはとても繊細で優しい方だったようですね。
15:49お恥ずかしい話ですが、実を言うと、有吉のことはよく覚えてないんですよ。もう50年も前のことで、記憶もおぼろげだ。
16:04しかしあなたは、50年以上有吉さんの手紙を大事に持っていらっしゃった。
16:11たまたま残っていたんですよ、押入れの奥に。
16:15ご要件はそれだけですか。
16:19失礼ですが、一昨日の夜はどちらに。
16:24いや、うちにいました。
16:26そうですか。
16:28もう一つだけ。
16:30さかきさんは、携帯電話はお持ちですか。
16:35いえ。
16:37携帯電話のこと、例の指紋が吹き取られていた電話の件を考えてたんですね。
16:42犯人はなぜ、ミキさんのデスクの電話を使おうとしたのでしょう。
16:47携帯電話を持っていなかったから。
16:49可能性としてはありますよね。
16:51しかし、通話記録が残っていません。
16:54つまり、使われてはいなかった。
16:56うん。
16:57それにしても、さかきさんは手紙を提供しておきながら、どうして有吉さんに関して無関心を装ったり、忘れたふりをするのでしょうね。
17:06はい。
17:07僕も、さかきさんが有吉さんのことを覚えていなかったというのは嘘だと思いますね。
17:12何かからや隠している気がするんだよな。
17:20さかき龍平さんのことで?
17:22ええ。
17:23若い頃、ご自分の描いた絵を持って、銀座界隈の画廊を回っていたと聞いたのですが。
17:29あの人ならつい3か月ほど前にも絵を持ってきましたよ。
17:363か月ほど前にも?
17:38ええ。
17:39ええ。
17:40石岩。
17:41いや、いつかでいいから、置かせてくれないか。
17:45申し訳ないけど、ちょっとうち側ね。
17:48僕が気に入らないんだよ。
17:49そこらの絵よりもよっぽどいい絵じゃないか。
17:52奥の隅で、置かせてくれ。
17:55そりゃあたしだって売れる絵だと思えば。
17:58あんたに分からなくとも。
18:01見る人は見れば分かるんだろ。
18:04ちょっとそういう言い方。
18:06榊さんの絵はなんていうか悪が強すぎてね。
18:12今まで売れたのはほんの2、3点だと思いますでは榊さんはもう50年以上もええあの人には絵しかないんでしょうね榊さんは画家として世間に認められることをいまだに諦めてないんですね絵は年寄りの趣味だなんて真っ赤な嘘だったわけだそういうことになりますねで君の方は?
18:38はい。榊さんが銀座山形屋に行ったのは三木さんが殺された日の昼間でした。
18:45買ったものは高級スーツ、シャツ、ネクタイ一式、銀行の封筒から現金で支払っています。
18:52その後、榊さんは喫茶店に立ち寄ってお茶を飲んでいます。
18:57足取りが分かったのはそこまでです。
19:00しかし、榊さんは一体何のためにスーツ一式を新調したのでしょうね。
19:06はい。確かに暮らしぶりには不釣り合いな高価な買い物だし、あの人にそんなものを着る機会があるとは思えない。
19:14何かありますよね、榊さんね。ガロのことという。
19:18ところで、これ何です?
19:21あ、有吉さんの手紙のコピーです。
19:23帰りに三木さんのオフィスによってもらってきました。
19:27で、手紙を読んで何か分かりました?
19:30この小説の方はかなりロマンティックに脚色されていますが、出来事に関しては手紙と決定的な食い違いはありません。
19:39有吉さんは、例の番称を引き裂いたというこの手紙を書いた3日後に亡くなっています。
19:51僕は今宵、最後の絵となるべき番称を引き裂き、僕の虚しき生徒、命ともいえる絵画への決別とした。
20:03なんだか壮絶ですね。
20:06しかし、一つだけ小説と手紙が全く異なる点がありました。
20:12何でしょう?
20:13有吉さんの人物像です。
20:16まあ、小説では繊細で優しい青年として描かれてますけど。
20:212枚目の最初の部分を読んでみてください。
20:26僕の古典が開かれるとき、具にもつかない絵を描いているお前には、入場券のもぎりをやらせてやろう。
20:34何ですか?これ、随分と見下した言い方じゃないですか。
20:37有吉さんの手紙には、友人として坂木さんを思いやる言葉は一切ありません。
20:43どうやら有吉さんは皮肉屋で、かなり尊大な人物だったようですね。
20:48ふーん、こういう相手じゃ小説にあったような仲良し小吉の友達ってわけにはいかなかったんでしょうね。
20:54坂木さんと有吉さん、二人は本当はどのような友人関係だったのでしょうね。
21:01昨日、被害者の三木さんが絵画の贋作家と揉めていたという匿名の垂れ込みがあり、
21:10調べたところ、高柳はじめという前科のある贋作家が浮かびました。
21:16贋作家か。
21:18高柳の行きつけのバーで、二人が揉めていたという証言も取れています。
21:22冗談じゃない。そんなギャラじゃ話にならない。
21:29高柳さん、あなた金が必要なんでしょう。
21:34報酬を巡るトラブルか。
21:37で、この高柳の所在は?
21:39現在捜索しているところです。
21:41えっ、じゃあ三木さんが何かの贋作を作らせてたってことですか?
21:46そのようです。
21:48杉瀬さん、あの本にありましたよね。
21:52有吉さんの未発表の作品は全て、長野にある有吉家の菩提寺の蔵から発見された。
21:58ええ。
21:59絵を発見した人を確認しましょう。
22:02絵を発見したのは三木さんです。
22:05えっ、三木さん自身が?
22:07ええ。
22:08それで、絵の鑑定をすぐに城南芸大の矢部教授に依頼し、手紙も鑑定に出しました。
22:15その結果、いずれも本物と判明したので、うちとしてもメディアミックスの戦略を立てて開講展を進めたわけです。
22:23では、有吉一字の絵は全て本物なんですね?
22:27もちろんです。
22:29鑑定した矢部教授は24点全て本物だと太鼓板を押してくださりました。
22:34待ってください。
22:36発見されたのは24点ではなく、25点のはずですが。
22:41つまり、まだ鑑定の住んでいない絵が1点だけあるということですね。
22:49異作となった万象という絵はご存知ですね。
22:53有吉さんが亡くなる3日前に、自ら引き裂いたという絵ですね。
22:58ええ。
23:00万象はもともと破損している絵なので、
23:03年月がたって絵の具の剥離がひどかったそうで、
23:06裂かれたままきちんと展示できるようにと、
23:09ミキさんが修復に出したと言っていました。
23:12途中でもいいから見せてくれと何度も言ったのですが、
23:15待ってくれの一点張りで。
23:17私も矢部教授も万象だけはまだ見ていないんです。
23:21それが、ミキが修復に出した記録が残ってないんです。
23:26記録がない。
23:27じゃあ、万象がどこにあるかわからないってこと?
23:30ええ。
23:31あちこち問い合わせたんですけど、どこにもなくて。
23:34解雇点が迫っているのにもうどうしたらいいのか。
23:37平野さん、おかしなことを聞くようですが、
23:40あなたは万象の実物を一度でも見たことはありますか?
23:44いいえ、私は一度も見てないです。
23:51少しお時間をよろしいでしょうか。
23:58あなたはこの本の最後に、
24:01解雇点に寄せてという短い文章を載せていますね。
24:04そこにこう書いている。
24:06特に万象は素晴らしい。
24:08ぜひ多くの方に見てもらいたい。
24:11ところが、あなたのおすすめの万象が不思議なことにどこにもないんです。
24:15ついさっき、ミキさんの会社が警察に盗難届を出しました。
24:19では、こんなところで油は売っていないで。
24:22万象を探したらどうです。
24:25あなた方も警官なんでしょう。
24:27坂木さん、万象の実物を見たと言っているのは、
24:32あなたと殺されたミキさんのお二人だけなんです。
24:35何がおっしゃりたいのかは分かりませんが。
24:41万象を発見された有志さんの絵の中に、
24:44最初から存在しなかったんじゃありませんか。
24:46万象は存在します。
24:50大地、どうして存在しない絵を存在するなどと、
24:54馬鹿みたいな嘘をつかなきゃならないんです。
24:56万象は、ミキさんにとって是非とも必要な作品だった。
25:00画家本人が引き裂いた遺作なんて、
25:02先制書まるで人寄せにはもってこいですからね。
25:05そこで、ミキさんは、
25:07岩作家に万象の岩作を作るよう依頼し、
25:10そして、当時のことを知るあなたに口裏を合わせるよう持ちかけた。
25:15もちろん、謝礼と引き換えにね。違いますか。
25:21杉瀬さん。
25:23彼はその謝礼の金をめぐって、
25:26私がミキさんを殺したとでも言いかねない勢いだな。
25:29あなたもそうお考えですか。
25:31申し訳ない。
25:32今のは彼の勝手な想像です。
25:34しかし、榊さん。
25:36あなたが嘘をついていることだけは確かです。
25:39嘘?
25:40絵は、年寄りの趣味でしょうか。
25:43いいえ、あなたは今もご自分の絵を持って、
25:47画廊を回っていますね。
25:50この年になっても、
25:53売れない絵をお風呂敷に包んで画廊を回っている。
25:56そんなことを喜んで他人に言う必要がありますか。
25:59確かに、初めてあなたにお会いした時も、
26:02あなたはご自分のことを画家とはお認めにならなかった。
26:0650年余り、絵を描き続けているにもかかわらず。
26:09何年かいて言おうが、
26:11古典の一つも開かなければ画家とは言えんのだ。
26:15そんなことが事件と文の関係であるんだ。
26:18今度は僕の勝手な想像ですが、
26:21そんなあなたにミキさんは口裏を合わせれば、
26:24あなたの古典を開いてやる。
26:26そう、持ちかけたのではありませんか。
26:29万象は存在すると言ったはずだ。
26:32だから、私の古典のお話などはあり得ない。
26:36ではなぜ銀座山形屋で、
26:39大変立派なスーツ、シャツ、ネクタイ一式を新調されたのでしょう。
26:43文不相応な買い物は犯罪ですか。
26:47ご自分の古典のために準備されたのではありませんか。
26:50あれは有吉の開古典に来ていくためです。
26:54よく覚えてもいない友人の開古典に行くために。
26:59さかきさん、あなたが有吉さんのことを覚えていないはずはないんです。
27:06有吉さんの手紙を読ませていただきました。
27:10そこには、僕の古典が開かれるとき、
27:14お前には入場券のもぎりをやらせてやるとありました。
27:18画家を目指していたあなたに随分ないようです。
27:21しかしそれでもあなたは手紙を捨てずに持っていました。
27:25あなたは友情であれ、憎しみであれ、有吉さんのことを忘れるはずはないんです。
27:34有吉ひとりさんのことを話していただけませんか。
27:41あなたの友人だったこの人のことです。
27:48です。
27:53皮肉屋で、高慢で、生き生き腹の立つ男でした。有吉は。
28:02私はこの言葉を撤回する気はありません。あなた方は番匠を探すべきです。
28:17坂木さんがあれほど言うなら、番匠は本当に存在するのかもしれませんね。
28:26だとしたら、贋作に関して口裏を合わせたという僕の推理は成り立たなくなっちゃいますけどね。
28:32しかし、君の推理をぶつけてみたのは決して無駄ではなかったと思いますよ。
28:37え?
28:38一つだけ、はっきりと分かったことがあります。
28:41何でしょう?
28:43三木さんの頭には有吉さんの番匠のことしかないということです。
28:47自分が三木さん殺しを疑われているにもかかわらず。
28:52おや、これから行くぞ。
28:54はい。
29:25Oh, my friend, this is what?
29:44I am a member of the Yonezawa.
29:47贈作家の高柳が借りていたトランクルムから
29:50例の板書の贈作が見つかったそうです
29:55贈作は?
30:04貨質じゃないな
30:08なんで特命係が
30:10お邪魔はしません
30:11拝見するだけ
30:14That's right.
30:44本物の番称です
30:52一体どういうことなんだ?
30:53番称は本物だった
30:55つまり本物は引き裂かれていない
30:57しかし有吉さんの手紙には引き裂えたと書かれていた
31:00しかも手紙も絵も本物なんて
31:03おい!暇か?
31:06ん? なんだこの写真
31:09絵だね
31:10絵にはちょっとうるさいよ
31:12今日見つかった番称という絵です
31:14番称?
31:15夕暮れになる鐘の番称ですよ
31:17ああ
31:19え? これどうかの番称なのよ
31:22金なんか一個も書いてないじゃない
31:28ん?
31:30ん?
31:31元部君
31:32はい
31:33一つ調べたいことがあります
31:36もし僕の推理が正しければ
31:40それで
31:41すべてが繋がるはずです
31:43お客様の出足悪いですね
31:58直前になって
32:00番称は引き裂かれていなかったと
32:02謝罪広告入れたからな
32:04夏の終わりの夕暮れ
32:10おっしゃっていた通り素晴らしい作品ですね
32:16はい
32:17アリヨシの最後の絵です
32:21あなたは事件の起こる前からこの日が来るのを待っていました
32:23本当はこんな形ではなく
32:25もっと大勢の人に見てもらいたかったんですが
32:32It's my last picture.
32:34You were waiting for this day to happen before the accident.
32:40It's not like this.
32:45I would like to see more people in the world.
32:51The lie to me was...
32:57할吉さんは
33:05残っていた
33:06生きるすべての力を振り絞って
33:09この outer文章を書いた
33:11これを書き上げた時
33:13有吉さんの命は
33:16もう消えかけていたのでしょう
33:18しかし彼には
33:21最後にどうしても
33:23会いたい人がいた
33:24榊さん、あなたですね。
33:33有吉さんにとってはただ一人の友人であり、同じ画家の道を歩むあなたにどうしても最後の絵を見てもらいたかった。
33:47すぐに来てくれ。その電報一つで私は飛んでいったでしょう。しかし有吉はそんなことのできる男ではなかった。
33:58ええ、皮肉屋で、存在で。
34:03ですから、あなたが読めばすぐに来てくれる手紙を書いた。
34:10最後の絵を引き裂いた。そう書けば、あなたは驚いて飛んできてくれるだろうと。
34:17有吉さんの最後のわがままだったのですね。
34:22死にかけているというのに馬鹿な手紙を書いてあいつはその手紙が届いて私が駆けつけるのを3日も必死で待っていたんです。有吉はそういう奴でした。
34:43私は間に合わなかった。
34:50私は間に合わなかった。
35:09杉下さん。
35:12はい。
35:13私が三木を殺しました。
35:18ええ、この番書を守るために。
35:23あの日あなたは山形屋でスーツを買ったあと、発売されたばかりの本を読んで、有吉さんが本当に絵を引き裂いたことになっているのに驚いた。
35:37それであなたは彼のオフィスへ向かい。
35:42私はあの番、三木に番書は引き裂かれてなどいない。そう公表すると言いました。しかし、公表する?
35:56それは良した方がいい。
35:59年寄りがボケできたと思われるのがオチですよ。
36:03実際、有吉の手紙には、番書は引き裂いたとはっきり書いてあるんですから。
36:10番書を引き裂いたりしてみろ。
36:13私は…
36:14どうします?
36:15引き裂いた絵を鑑定させますか?
36:17無駄ですね。
36:19絵は本物なんですから。
36:21本物を裂いて、傷に時代をつけるだけだ。
36:24鑑定家だって分からない。
36:26三木さん、有吉は二十二で死んだんです。二十二。たった二十二です。有吉は生きてまだまだ描きたい絵が山ほどあったんです。
36:43だが、もうその夢は叶わない。もうわずかしか生きられないと分かった時、有吉は最後の一枚に、あの板書に命の全てを注ぎ込んだんです。有吉は…
37:01そんなこと、私の知ったことじゃない。いいですか。ただ絵を見に来る人間なんていないんです。
37:08溶接した天才のストーリーを見に来る。
37:13あなたの読んだ。
37:15この本のストーリーを見に来る。
37:19板書は引き裂かれてこそ初めて完成する。
37:23悲劇の画家として有吉一二の価値は跳ね上がり、より多くの人に見てもらえる。
37:29それのどこが悪いんですか。
37:31三木さん…
37:34ハリウチの万象を傷つけないでくれ。この通りが…
37:41何をしても無駄ですよ。
37:44そろそろ引き取り願えませんか。私もまだ仕事がありますから。
37:51今、止めなければそう思いました。
38:00あなたはそのあと、デスクの電話で警察を呼んで自首しようとしたのですね。
38:06はあ、結局途中で怖くなって受話器を置いてしまいました。
38:13そうでしょうか。
38:15受話器を置かせたのは、教会の金の音だったのではありませんか。
38:21この絵のタイトルは万象です。
38:24ならば、夕暮れの金の音が聞こえているはずですね。
38:30風に乗って、あの開いたフランス窓から。
38:37サカキさん、僕たちは当時のことを調べたんです。
38:42有吉さんの別荘の近くにある小さな教会では、毎日夕暮れに鐘を鳴らしていました。
38:47サカキさん、僕たちは当時のことを調べたんです。
38:52有吉さんの別荘の近くにある小さな教会では、毎日夕暮れに鐘を鳴らしていました。
38:58サカキさんも、別荘を訪れた時に何度も聞いていますよね。
39:08あの晩も有吉さんのオフィスの近くの教会では、特別なミサのために鐘が鳴らされていました。
39:28信じられないような偶然でした。
39:33しかし私はあの時、有吉との約束を思い出したんです。
39:39二十歳の頃の約束です。
39:43古典が日焼けた時に、互いに入場券のもぎりをやろう。
39:50しかし私はあの時、有吉との約束を思い出したんです。
39:55二十歳の頃の約束です。
39:58古典が日焼けた時に、互いに入場券のもぎりをやろう。
40:05古典の約束
40:26言っとくけど、僕の古典のもぎりをする時は、しみったれた格好はよしてくれよな。
40:32お客に失礼だからな。
40:34お前こそ、俺の古典の時に、ひょろひょろした青白い顔して、受付に立たないでくれよな。
40:40こんな病気、絵を描いていればすぐ治る。
40:43僕の頭には、新しい絵の構想が山ほどあるんだ。
40:54まったくお前くらいだよ。
40:56僕の絵を散々にこき下ろすバカは。
40:59思ったことを言っているだけだ。
41:02いい絵を見れば、いいって言うさ。
41:09あの晩、教会の鐘の音を聞いた時に、見届けなければならない、そう思ったんです。
41:16あの晩、教会の鐘の音を聞いた時に、見届けなければならない、そう思ったんです。
41:25元作家の手にある有吉の板書が無事に戻り、ここに飾られるのを、この目で見届けなければならない、そう思ったんです。
41:32もう私は年を取ってもぎりはできませんが、これはいつの初めての古典なのだから。
41:39これはいつの初めての古典なのだから。
41:46事件の後、三木さんが元作家と揉めていると、警察に匿名の通報をしたのは、あなたですね。
41:53そうです。
42:03ええ、警察にこの板書を見つけてもらうために、55年ぶりにご覧になるのですね。
42:08いや、不思議です。
42:1555年前と全く同じように、私はこの才能に嫉妬する。
42:22佐々木さん、それはあなたご自身が、やはり画家だからではありませんか。
42:2955年前も、今も。
42:32古典が開けようと、開けまいと。
42:37佐々木さん、それはあなたご自身が、やはり画家だからではありませんか。
42:4455年前も、今も。
42:47古典が開けようと、開けまいと。
42:52ご視聴ありがとうございました。
43:11元作家の高柳を押さえました。
43:13そうですか。
43:15板書は、彼らが見つけました。
43:18ありがとうございました。
43:20では。
43:24佐々木さん。
43:50平野さん、マスコミ逮捕の準備をしないと。
44:01えっ?
44:02あの絵のせいで、一人の人間が人を殺したんです。
44:06引き裂かれた枝空より、こっちの方がよっぽど大きな宣伝になります。
44:14結局、この事件そのものも、宣伝に使われるってことか。
44:18一時は、そうかもしれません。
44:21しかし僕は、誰かの演出や、話題性で、本当の名画が生まれるとは思いません。
44:28絵の価値は、見た人が決めるものです。
44:32そうです。
44:34そうですよね。
44:36行きましょうか。
44:38はい。
44:40ご視聴ありがとうございました。
44:50ご視聴ありがとうございました。

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