ZDF『コロナは私たちの社会を変えるか?3-1』

  • 4 年前
日本ではコロナ緊急事態宣言が解除され、再び社会が以前のように動き始めようとしている。
しかし北九州や東京では相変わらず毎日新たな感染者が出ており、再び第二波のパンデミックが何時起きてもおかしくなく、国民の誰もがコロナ以降の変容を感じている。
折しもドイツの公共放送ZDFは、5月24日の哲学者プレヒトの対談番組で社会学者アンドレアス・レクヴィツを招いて、『コロナは私たちの社会を変えるのか?』のタイトルで放送していたので、日本語字幕を付けて自ら考えることにした。
リチャード・デビット・ブレヒトは1964年生まれの哲学者であり、リューネブルク大学の哲学名誉教授であるとともに、ベストセラー作家としても有名である。
プレヒトは2012年以来年6回のZDF対談番組を持ち、現在の社会や政治に影響を与える人との議論を通して、新しい市民社会を模索している。
今回の対談相手のアンドレアス・レクビッツは、ベルリンのフンボルト大学社会学教授であり、ZDFの解説では(下のアドレス)、現在の規制なき競争社会から国家規制の活性化する社会を説き、2019年執筆の『幻想の終わり』で、「長い間人類は進歩と民主主義の確信を整えてきたが、英国のEU離脱、トランプの選挙、移民問題、気候危機などの出来事は、“歴史の終わり”の幻想を揺るがした」と述べていることが紹介されていた。
https://www.zdf.de/gesellschaft/precht/precht-212.html
今回取り上げたプレヒトの対談は多少難しい議論でもあるが、コロナ危機に揺れる現在が歴史の転換点であるかどうかは別として、現在のコロナ危機社会がどのように社会を変えて行くかを考える上で的を得ている。
今回上に載せた『コロナは私たちの社会を変えるのか?3-1』の後半で進歩論議がなされており、レクビッツは絶えざる進歩を追求してきたことが現在の危機の原因としながら、「ところで私は本質的に、現在進歩の必要性のない社会は考えられないと思っています」と明言している。
これに対してプレヒトは、進歩がエコロジー的代価を支払って来ており、最早進歩が許されないところまで来ており、時代の転換がなされるのではないかと迫っている。
しかしレクビッツは進歩が許されない社会には懐疑的で、進歩批判が創り出す別の進歩を目標とする社会を示唆している。

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