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  • 10 年前
今や「コミュニティアートの聖地」とも言える大阪・釜ヶ崎の「ココルーム」を私が初めて訪れたのは2009年。それから震災の年まで毎年夏祭りのお手伝いをするようになりました。
そこで出会ったのが、この地で40年間、労働者として生きて来た井上登さんでした。登さんはココルームの仲間たちと出会い、それまでの自分の人生と向き合い、変わっていきます。
私は登さんが2009年から書き始めた「おっちゃん通信」というブログのファンです。そこにはどんな芸術も表現することがかなわないようなリアリティがあります(その後、「おっちゃん通信」は一冊の本のかたちになり、オンデマンド印刷で手に入れることができます)。
震災後、仙台を訪れた登さんに改めてお話をお聞きし、いっしょにつくりあげたのがこのラップです。録音は2014年7月、久しぶりに釜ヶ崎を訪れ、かつてココルームで働いていた寺川さんが開いた「喫茶EARTH」を会場に開催したライブのリハーサルを兼ねて行いました。
ずっと、これまで撮った映像をつけたビデオをつくりたいと思っていながら果たせずにいました。つくりながら、いろいろなことをなつかしく思い出しました。私にとって釜ヶ崎を訪れた経験は何ものにも代えがたいものであることが、改めてわかりました。

【リリック】人は変われる
2009年夏
俺ははじめて大阪釜ヶ崎に足を踏み入れた
それから何年か
お盆になるとその釜ヶ崎夏祭りに通うようになるのだが
初めて訪れた釜ヶ崎のまちは
日本で今でも暴動が起こる唯一のまちだとか聞いていたけれど
時代がとまったようなまちのたたずまいや
誰もが裸で生きているようなそのリアルな雰囲気は
俺には懐かしいようなうれしいような当たり前のような
まるで自分のまちに帰って来たような不思議な親近感をおぼえた  
三角公園に建てられたお祭りのやぐらの前で
ココルームのかなよさんに言われてお習字の屋台をはじめると
しばらくして何をしたおぼえもなかったのだが
突然ひとりの男にからまれた
その男の名前は井上登
「アンコをバカにするな」と彼は言った
それが「労働者」のことだと知ったのは後のことだ
酔っているのか言っていることはよくわからなかったが
彼の目は恐ろしいほどに何かを訴えようとしていた
自分にはこんなに強く何かをひとに
伝えようとしたことなどあっただろうか
そう思うと俺は自分が何か
とても欠けたところのある人間に思えた
翌年 夏祭りでみこしをつくることになって
そこで再会した彼はしかしまるで別人のようだった
酔っぱらって自分と真剣に向き合おうとしない弱い自分を変えたいと
登さんが重ねてきた努力について知ったのは後のことだ
人は変われる
人は変わる勇気とがまん強さをもった存在だ
何度も壁にぶちあたり へこみ あとずさりしながらも
一歩一歩正直に生きている登さんの思いを知ったのは
彼のブログを読んでからのことだ
慣れないパソコンをあやつりながらつづられたその
誤字脱字だらけの文章から立ち上る息づかいは
どんなに推敲を重ねた名文よりも
俺の心にリアルに沁み渡った
それはまるで釜ヶ崎そのものだ
俺は震災の後に石巻で聞いた言葉を思い出した
「もう飾るのはいい
震災でそんなものは必要ないことがわかった」と
その石巻の小さな新聞社をたばねる人は言った
しかし人が変わるということはそんなになまやさしいことではない
登さんが変わるためについやされたまわりの努力 やさしさ
日本が変わるために受け取った震災という大きな代償
澱のように降り積もり固まった登さんの怒り 衝動は
何度でも機会を与えつづけたまわりの人たちの
大きな広いやさしさによってひとつひとつはぎとられ 折りたたまれ
登さんは本当の自分と向き合う勇気と知恵を手に入れた
震災というあまりにも甚大で不幸で理不尽なやり切れない
この「贈り物」を受け取ってなお俺たちは
変わろうという気持ち 決意
自分たちがしてきたことと向き合う勇気を
もう早くも失いかけてはいないか
人は変われる
世界は変えられる
もちろんそれは映画やドラマのように簡単なことではなく
俺たちの人生にはハッピーエンドなど存在しない
それでも正直にそれに向かい合う勇気と知恵を
俺たちは手に入れることができる
それは登さんが実際そうしてきたようにだ
おはよう~
釜ヶ崎の一角にある空き地に咲いてる花~
この花、名前は知らんけど
すきなんや~それでいい
好きで釜ヶ崎に来てないよなあ
来なければ生きて生けなかった小生です
1972年6月の鬱陶しいときだった
語れるもの本気でもってくださーい
しんどくても、生きててよかった
幸せなんだ…熱くなれるんだ
みんなにも、この思い分けて
あげたいなあ~~イエーイ
みなさん、今日もハッピーで過ごそう♪
小生の家の前にいる黒ネコのらネコなんだ~でも、好き懸命に生きてるから、目が腐ってない~光ってた、
どんな人生でも自分をあきらめたらいかんいつか、君が生きてきた喜びに、
かならず気づくから楽しくなんかなくてもいい己れを生きて行こう~イエーイ
人間として、おいらが一番嫌いな事、
人の価値観を学歴、肩書で判断するやから、
ちなみにおいらは中卒、日雇い労働者、
もうこれだけでおいらを頭から、
バカにしてくる。
仕方ないだろうとみんな思うけどおいらはちがう、
そんなとこで人間を見てない、
話して態度を見てこの人間が、
どれだけ人の気持ちを考えて、行動してるか、
愛があるのか、思いやりがあるのか
そういうところでひとを見てる
うわべの人間が如何に多いか
釜ヶ崎に来てよかった、
21歳だった
その当時はきれい事で生きられるような、
釜ヶ崎ではなかった、
身体一つが頼りで、手配師に仕事を紹介され、
ピンハネ承知の日雇い稼業、
一本どっこで、生きてきたもんなあ~
釜に来たことを身内にも恥じて言えなかった
弱いのぼるだったよ~
でも、ここから自分の居場所を見つけた
今の小生は楽しくて、周りのみんなにも、
伝えて生きたーい~、
自分に素直に生きる~
たとえ一人になっても構わない~
もう、後悔したくない~
一度きりの人生を自分に嘘をついて生きたくない~
それだけだけだ~

【関連】
ブログ「おっちゃん通信」
http://www.kama-media.org/japanese/blog/cat3/cat11/

オンデマンド版「おっちゃん通信」
http://startohoku.buyshop.jp/items/2855823

ココルーム
http://cocoroom.org
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