「壊れない」スーパー堤防めぐり、住民が国相手に裁判
今、東京・江戸川区で、スーパー堤防と呼ばれる「壊れない」堤防の工事が進んでいます。
この工事をめぐり、住民たちが国などを相手に事業の取り消しを求めた裁判で、25日、第1回目の公判が行われました。
その一方で、江戸川区は別の地区でも新たにスーパー堤防を作る計画を発表。
裁判中にもかかわらず進んでいく事業を前に、住民たちの間には動揺が広がっています。
おととし12月、重機で解体される住宅。
東京・江戸川区でスーパー堤防建設のため壊されたのです。
住民の高橋新一さん(56)の自宅。
母親の喜子さん(85)はおよそ60年間この家に住んできましたが、立ち退きを余儀なくされました。
「(昔、住んでいたのは)あそこら辺だったかな、黄色い車のところ。悲しいね。今まであったところが、ついの住みかでずっと住めたのにね」(高橋新一さん・喜子さん)
200年に1度の洪水に備えるため、国が進めるスーパー堤防事業。
堤防の幅を160メートル広げ、盛り土の上に宅地を造る計画です。
しかし・・・
「400年かからないと完成しない。12兆円かかる。現実的な話だと本当にお考えですか」(蓮舫行政刷新相〔当時〕・2010年)
当初、スーパー堤防は総延長873キロ、予算12兆円の壮大な計画でしたが、民主党政権では無駄遣いだとして事業が廃止になりました。
自民党政権で事業を縮小して復活、首都圏や近畿圏で総延長120キロを作ることになりました。
立ち退きの対象となった高橋さんら住民は、国と江戸川区を相手に裁判を起こしました。
25日、東京地裁で行われた第1回口頭弁論。
住民たちは「地域コミュニティーが崩壊し、住民の平穏な生活が失われた」などとして、事業の取り消しと慰謝料の支払いを求めています。
住民たちが国と争う一方で、江戸川区の別の地区でも。
「しっかり堤防を守っていく、国のスーパー堤防整備事業とまちづくりを行う機会を合わせて、確実にやっていく方針を江戸川区は持っています」(区の担当者)
立ち退きが終わった北小岩1丁目から2キロほど離れた上篠崎1丁目でも事業計画が進み2か月前、住民説明会が開かれ紛糾しました。
「本日は大変申し訳ないのですが閉会とさせていただきます」(区の担当者)
「みんなでさ、質問しようよここで」(住民)
「時間がありますので」(区の担当者)
意見はかみ合わないまま終了。
しかし、区は3年後の工事開始を目指す方針です。
建設予定地にある妙勝寺。
墓およそ450基も立ち退きの対象になります。
住職の妻は・・・
「ここに来てから100年になります。(かつて寺が)河川敷にあるときでさえ、洪水で流されたことはない」(渡辺美代子さん)
本当にスーパー堤防が必要なのか疑問を感じています。
スーパー堤防事業をめぐり深まる溝。
国側はスーパー堤防について「まちづくり構想や都市計画との調整を図りつつ整備を進める」としています。
(2015年2月25日15:07)
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