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  • 12 年前
新たに作られた「STAP細胞」は、これまでに開発された、さまざまな組織になる細胞と比べ、がんになるおそれが低いとみられるなど、すぐれた面があると注目されています。

さまざまな種類の細胞になるいわゆる「万能細胞」は、再生医療や治療薬の開発に役立つとして、これまでも「ES細胞」や「iPS細胞」が開発されてきました。
ところが、ES細胞は受精卵を壊して作るため倫理的な問題があり、iPS細胞は遺伝子を入れて作ることなどから、がんになるおそれがあるのではないかと指摘されています。
これに対し、STAP細胞は、体の細胞を使ったうえで遺伝子を入れるなどの操作をせずに外部からの刺激だけで作れることから、がんになるおそれが低いとみられています。
また、iPS細胞は、作るのに2週間から3週間かかりますが、STAP細胞は1週間ほどで効率よく作れるということです。
さらに、iPS細胞やES細胞では作ることができなかった胎盤を作れることから、STAP細胞はさまざまな細胞を作る能力も高いとみられています。
一方で、課題もあります。
STAP細胞は、生まれてまもないマウスのリンパ球から作られましたが、成長したマウスではうまくいかなかったということです。
また、どうしてできたかというメカニズムも解明できていません。
さらに、ヒトの細胞でもできるかどうかはまだ分かっておらず、医療への応用はこうした課題を克服したうえで行われることになります。
共同執筆者「ほっとした」

論文の共同執筆者で、アメリカのハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授は、日本時間の30日午前に放送されたイギリス・BBCのインタビューで、「2001年に論文をまとめたときは、読んだ人たちに批判された。およそ10年間にわたり、この研究を続けてきたので、驚いたというよりもほっとしたという感じだ」とこれまでの苦労を振り返りました。
そのうえで、「私たちの手法を使えば、簡単かつ単純な方法で万能細胞を作製できる。研究成果が実用化されれば、治療を受ける人の経済的な負担を減らすことになるだろう」と今後の実用化に期待を示しました。
また、バカンティ教授は、所属する研究機関の発表の中で、「強いストレスにさらされたり損傷したりすることで、分化した細胞の運命が劇的に変わることが示せた。この成果は、ES細胞やiPS細胞とは異なる可能性を秘めている」とコメントし、次の段階は、ほかの哺乳類やヒトの細胞でも同じ現象が見られるか確かめることだと指摘しています。
そして、「今回の成果は日本とアメリカの研究機関の協力がなければ実現しなかった」と評価しています。
「今後さらなる研究を」

細胞をさまざまな組織に変化できる状態にする「初期化」の研究に取り組んでいる京都大学再生医科学研究所の多田高准教授は、「こんなに簡単な作業で体の細胞がさまざまな組織になる状態に変化したのは驚きだ。厳しい環境に置かれたとき何とか生き残ろうとする細胞本来の力が発揮されたとも考えられる。iPS細胞よりも受精卵に近い状態になり、生物が生まれるごく初期段階の研究も進む可能性があると思う。一方で、再生医療につなげるには大人のヒトの細胞から作り出さなければならず、今後さらに研究を進める必要がある」と話しています。
米研究員「さらなる検証を」

今回の研究成果について、山中伸弥教授も所属するアメリカ・サンフランシスコのグラッドストーン研究所のシェン・ディン上席研究員は「簡単な方法で細胞を変化させるもので今後の幹細胞の研究や応用に役立つすばらしい研究成果だ。今回の研究はマウスによるもので、まだ初期の段階だが、将来のヒトの細胞への応用も期待できる」と話しています。
一方で、ディン氏は「メカニズムの解明が次のポイントだ。今回、細胞に外から刺激を与えることで作り出された『万能細胞』が従来のものと同じ性質を持つものかはさらなる検証が必要だ」と述べ、今後、慎重に検証していく必要があるという考えを示しました。
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