隠れた放射能汚染 「除染放棄」に憤る人々

  • 10 年前
隠れた放射能汚染 「除染放棄」に憤る人々
http://news.tbs.co.jp/20140901/newseye/tbs_newseye2288738.html
http://megalodon.jp/2014-0902-0850-05/news.tbs.co.jp/20140901/newseye/tbs_newseye2288738.html
http://archive.today/uP1NL
福島第一原発の事故で飛散した放射性物質の除染。
環境省は先月、河川や池などでは行わないという方針を示しました。
ところが、福島県内の池などでは隠れた高濃度の放射能汚染があり、
自治体からは懸念の声が上がっていることがNEWS23の調べで明らかになりました。

放射線測定の専門家、首都大学東京の加藤准教授は、
この村の放射能対策アドバイザーを務めています。
農業用ため池の千鳥ヶ池。
底の表面近くの土壌が最も汚染度が高く、1キロ当たり最高で3228ベクレルを検出。
国の責任で処分する指定廃棄物に相当する8000ベクレルには及びませんでしたが、
安全に再利用できる基準の100ベクレルをはるかに超えました。

子供達が入って遊べる別のため池でも採取。
計測すると、2659ベクレルでした。
医学博士でもある加藤氏は
「こうした池では素足で遊ばせない方がいい」と話します。
「内部汚染につながる可能性がある、傷口とかから。なるべくなら近づかない。
傷ついたら多少なりとも入る」(首都大学東京 加藤洋准教授)

環境省は、こうした池や沼、河川や湖の除染について、
これまで未定としてきましたが、先月22日、行わない方針を決めました。
陸上の生活圏の除染を優先。水には放射線を遮る効果もあり、
周辺に与える影響が小さいといいます。西郷村の除染担当者は・・・
「残念だよね、方針がどんどんレベルが下がって、
最後は取り残されちゃうのを危惧しています。
子どもや住民が生活する環境を元に戻すのが基本だと思うので」
(西郷村(除染対策室) 菅野一室長)

福島県と農水省による農業用ため池の底の土壌サンプル調査では、
避難指示区域のおよそ4割、区域外のおよそ3割で、1キロ当たり
8000ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムが検出されています。
「もし干上がったら(空間)線量は結構上がります。
水の遮蔽体なくなりますから」(首都大学東京 加藤洋准教授)

西郷村の除染担当者の心配はほかにもあります。フタのない防火水槽です。
この水槽付近の空間線量は高くありませんが、底にはおよそ8000ベクレルの高濃度放射性物質があり、村は水の利用を原則禁止しています。
西郷村は環境省に対し、防火水槽の底を除染するよう依頼しました。
ところが、「必要ない」として断られたのです。
「防火用水なので、緊急時には水を使わなければ。
考えられるのは、消防団の被ばくという問題、それから、放射性物質の拡散。
火を消すために水を使うが、泥も一緒にまかれる。
どうするのか?問題は非常に大きい」(西郷村(除染対策室) 菅野一室長)

更に、西郷村が「水を抜けば汚染土壌が田畑へ流れる」と不安を伝えたところ、
環境省からは「流しても大丈夫」と言われたといいます。
環境省は「一定の放射性物質を含む泥が一定の深さ堆積し、放水時に飛散される
と判断される場合」に限り除染するとしていて、全ての要望に応えていません。

環境省に断られた西郷村は、次に東京電力に除染を依頼しました。
ですが、こちらも「検討する」と言ったまま、その後、動きはありません。

NEWS23は福島県の全59市町村にこうした除染問題についてアンケートを行いました。
その結果、フタのない防火水槽は県内に少なくとも4200か所存在することが
わかりました。また、政府に対してこんな要望の声が上がりました。
「これらの除染についても、国が責任を持って(国が費用を全額負担する)
実施すべきであると思われる」(鏡石町)
「森林や河川等も含めた全体的な方針を提示するとともに、
除染等の措置について財政措置の対象としていただきたい」(福島市)

隠れた放射能汚染にどう対応するのか、福島の元の生活を取り戻すために
重い課題が突きつけられています。