プレイヤーにスキップメインコンテンツにスキップフッターにスキップ
  • 13 年前
アメリカの自由市場主義がどのように世界を支配したか、その神話を暴いている。ショック・ドクトリンとは、「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のことである。アメリカ政府とグローバル企業は、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとがショックと茫然自失から覚める前に、およそ不可能と思われた過激な経済改革を強行する…。ショック・ドクトリンの源は、ケインズ主義に反対して徹底的な市場至上主義、規制撤廃、民営化を主張したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンであり、過激な荒療治の発想には、個人の精神を破壊して言いなりにさせる「ショック療法」=アメリカCIAによる拷問手法が重なる。

ゆすりの親玉 ブッシュ / イラク米軍武装強盗 火事場泥棒 / カナダ海底油田投機詐欺 / ガス石油産業デマ宣伝 / 令状無き盗聴 / 世界金融 国務省 アグリ企業 遺伝子組み換え食品詐欺 モンサント / 中国 巨大搾取企業 恐怖の軍事警察国家 ラサ チベット

2008年7月ブッシュ大統領は、環境保護のため米国近海の大陸棚での石油・天然ガス採掘を禁止してきた1981年の法律を、解除するよう議会に強く要請しました。エネルギー資源の対外依存を引き下げ、ガソリン価格の低下をもたらすためと説明しています。果してそうでしょうか? ゲストのナオミ・クラインは、北極圏や大陸棚での石油採掘は、価格低下にも供給増加にも貢献せず、むしろ大手石油企業の市場支配を強化するだけだと反論します。
クラインは2007年に発表した『ショックドクトリン 惨事活用資本主義』の中で、社会が大きな危機に見舞われたとき民衆がまどわされ、目の前にある救済策に飛びつくのを利用して、本来なら容易に受け入れられない企業寄りの政策を強行するネオリベ政府の手口を論じています。今回の石油価格高騰を受けたブッシュ政権の対応も、まさしくこの火事場泥棒の手口に他ならず、本当の問題解決にはならないけれど、石油企業は念願の海底掘削権を手に入れるのだと論じます。
むしろ原油高の脅威を正面から受け止め、石油企業の不当利益への課税を再生可能エネルギーの開発に向け、生活様式を根本から転換する好機とすべきだと云うのがクライン氏の主張です。
クラインはまた、民主党の大統領候補オバマ上院議員がシカゴ大学のロースクールで教えていた経歴を持ち、経済政策においてはシカゴ学派の影響が強く、きわめて保守的であると指摘します。イラク撤兵に関する曖昧な態度も批判し、変革のイメージに期待してやみくもに支持を与えることを戒めています。候補者に白紙委任をするのではなく、条件つきの支持によって圧力をかける、成熟した民主主義文化の必要性を説いています。
さらに、五輪を目前にした中国で、政府と米系兵器産業が協力し、悪夢のような市民監視システムを構築しようとしていることにも警告を発します。テロの脅威、原油高、サブプライムローン危機、食糧危機など、多くの政策課題を前にして、徒に危機感のみを煽り、企業本位の政策を強行しているのは独り米政府だけではないでしょう。

* ナオミ・クライン (Naomi Klein) カナダの有名ジャーナリスト、活動家。2000年に出版した『ブランドなんか、いらない』は、企業中心のグローバリゼーションへの抵抗運動のマニフェストとしてベストセラーになった。昨年9月に出版された話題作The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism (『ショックドクトリン 惨事活用資本主義の台頭』)は、25ヶ国語に訳されている。

カテゴリ

🗞
ニュース

お勧め