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  • 14 年前
19年前、背水の陣で私は呼び込みを始めました。通行量が1日数万人という店に面したJR新宿駅と丸の内線の連絡通路にむけて。新しく生まれ変わった「低価格高コスト」のベルクは、1日1000人以上の来客があってはじめて成り立つ業態。通行人は店の前を素通りしていくばかりです。まず店の存在に気づいてもらわないと…。今でも、あの時呼び込みをしなかったら店は軌道にのれたかと考えます。あそこは、東京にいれば、誰でも一度は通る場所。ベルクは知らなくても、呼び込みの顔は覚えているという方もいました。うちのスタッフが呼び込みの最中、セリフを噛んで、アルタに向かうタモさんにぷっと吹きだされたこともあります。タモリに笑わされることはあっても、笑わせる経験はなかなかない。70年代(ベルクの純喫茶時代)はジョンとヨーコもここを通り過ぎていきました。あれから19年、うちの19才のスタッフが、サウンド付きで呼び込みにチャレンジする映像をどうぞ。

(井野)

呼び込みのかわりをクルチカ君がつとめたこともあります。身長180センチくらいの四面体のくるくる回る移動式電飾看板です。パチンコ屋さんなんかの前でよく回っている、アレですね。頭上にチカッチカッと点滅するライトが付いていることからクルチカ君と命名しました。駅ビルからすぐ、「下品」との理由で撤去命令。でも、うちを含め3つの飲食店が寄り添うようにしてある、あの離れ小島のような一角が、駅ビルの大改装でムーディーな(暗い)雰囲気になってしまい、通行人が足早に通り過ぎる通路から全く目立たなくなってしまったのです(店長曰わく、ベルクがフードコート案を蹴ったことに対する駅ビルの報復…だそうですが…。詳しくはベルク本で!)。何かアイキャッチが必要ということで、看板屋さんにおまかせしたら、やってきたのがクルチカ君でした。さすがの私たち自身、えっとたじろぎましたもの。一応カフェですもの…。でも、看板屋さんがカッティングシートでポップにカラフルに装飾してくれて。くるくる回りだしたとたん、ぱっと華やいで、1日の来客数が平均50人増えました。あの一角の照明を明るくしてほしいという(クルチカ君導入前からの)私たちの要望を駅ビルが受け入れるまで、5年間、クルチカ君はひたすら回り続けました。十分過ぎるほど頑張ってくれたと思いますが、その後中野のはんか亭というラーメン屋さんにお嫁入りして、野外で風雪にさらされながら更に2、3年お店のために働いたのです。毎年、今頃の時期になると、クルチカ君にクリスマスの飾り付けしたのを思い出します。

(迫川)

映像 by 迫川尚子
呼び込み(パフォーマンス) by 遠藤宏至(サンミュージック所属)
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