00:00the office of the cool 機は張り詰めた弦 noように鋭くとがっていた
00:04カタカタと無機質な打鍵音だけが響き
00:07誰もがモニターを睨みつけている
00:09new 車4度目の春
00:12onlineなら今日は僕にとって特別な日になるはずだった
00:14初めて迎える結婚記念日
00:17妻は奮発してステーキを焼くねとはしゃいでいた
00:21しかし午後3時に発生した大規模なシステムトラブルが
00:22そのささやかな計画を無惨に打ち砕いた
00:25おいまだ終わらないのか
00:27背後から突き刺さるような声がした
00:44直属の上司竹田課長だいつも不機嫌そうで言葉には棘がある気分一つで指示が変わる彼を僕は正直苦手としていた周囲は泊り込みを覚悟した空気で満ちているこの修羅場の中で結婚記念日なので帰らせてください
00:52などと言えるはずもなかった刻一刻と過ぎていく時間時計の針が5時を回った時僕の心はきらめに支配されていた
01:03佐藤ちょっと来い武田課長に呼びつけられ列室へ向かう 失跡されるのかと見構えた僕の目の前に一通の白い布団が差し出されたこれを今すぐ人間の警物さんに届けて来い
01:12先頭の担当者が待っている頭の中が真っ白になった警物さんはここから車を飛ばしても3時間はかかる
01:19今から迎えば到着は夜の8時そこからトンボ帰りしたとしても家に着くのは日付が変わる頃だろう
01:28あの課長この状況で僕が抜けるのはいいから行け 届けたらそのまま直起していい吐き捨てるように言うと課長が僕の反応を遮るように背を向けた
01:40中身は車の中で確認しろさっさと行け時間の無駄だ 同僚たちの同情の視線を背中に浴びながら僕は逃げるように駐車場へ向かったハンドルを握る手が怒りで震える
01:43嫌がらせだと思った
01:53こんなこんなの最中にわざわざ僕を遠方へ走らせるなんて 車内に入り腹らしく不当を引き裂いた中から出てきたのは業務書類ではなく一枚のルズリーフの切れ端だった
01:59そこには殴り書きのような無骨な字でたったに今日だけ記されていた
02:09結婚記念日をめでとう今日はこのまま帰りなさい 視界が急激ににじんだ言葉が出なかったあんなに冷たくあんなに突き放すような態度で僕を追い出したのは
02:19僕が罪悪感を持たずに職場を離れられるようにするための彼なりの不器用な嘘だったのだトラブルの責任をすべて背負い部下を家庭へ返す
02:21その覚悟があの一通の封筒に詰まっていた
02:32止まらなくなった涙が膝の上の髪切れを濡らした 社会人になってから人前でも一人でも泣いたことなんてなかったのに情けなくて温かくて胸の奥が熱くて仕方がなかった
02:431年後武田課長は実家の家業を継ぐために会社を去った送別会の喧騒の中僕は隙を見て彼に近づきあの日の礼を伝えた
02:44課長あの時は本当にありがとうございました
02:47おかげで妻と過ごせました 武田課長は相変わらず不機嫌そうな顔でビールを掘り鼻で笑った何のことだ酔っ払って変なことを言うな
03:08最後まで空とぼけて彼は僕に感謝の言葉すら言わせなかったそれが武田課長という人だった 今でもカレンダーが結婚記念日の日付を指すたびにあの武骨な手書きの文字を思い出すそして気づけば目尻を尽くしている
03:14武田課長お元気ですかあの時いただいた優しさを僕は今
03:16自分の部下たちに返せているでしょうか 夜の国道を走りながら流したあの涙の色を僕は生涯忘れることはない
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