00:28整理
00:54部屋のゴミ箱に捨てられた検査薬は、鮮やかな陽性を示していた。新しい命が、姉のお腹の中に宿っていた。彼氏に伝えな。二人の問題なんだから、真剣に考えなよ。突き放すような言い方しかできなかったのは、私自身が怖かったからだ。母も同じだった。報告を受けた母は、静かに、けれど厳しく、二人で話し合いなさいとだけ告げた。姉は震える足で、彼に会いに行った。
01:22けれど、戻ってきた彼女から聞かされたのは、予想もしなかった言葉だった。土下座されたんだ。謝られた。まだ自信がない。ごめんって、姉は、産みたかったのだと思う。けれど、愛している男に地面に膝をついてまで、諦めてくれと泣き疲れたら、16歳の少女に何が言えただろう。その日を境に、彼は妙に優しくなった。それが帰って、姉の心を削っていく。その後さ、白々しいくらいの優しさを見せてくるんだよね。
01:47それがもう、ムカついちゃって、姉は笑って話した。けれど、その目は少しも笑っていなかった。妹の私に涙を見せたくないという、彼女なりの最後のプライドだった。数日後、姉は友人に突き沿われ、産婦人科の門を叩いた。それは、命を終わらせるための手続きをするはずの場所だった。しかし、帰宅した姉の顔は、以前よりもずっと脆く、今にも崩れ落ちそうだった。
02:00見ちゃったんだよ。自分のお腹の中で、あんなに小さくても、とくとくって動く心臓を。あれを見たら殺せないよ。絞り出すような声だった。その夜、姉の部屋の扉を母が叩いた。どうなったの
02:14?母の問いに、姉は勤めて明るく、自分に言い聞かせるように答えた。下ろすことにしたよ。その瞬間だった。母の空気が変わった。母は姉の目をじっと見据え、静かに、けれど魂を揺さぶるような声で言った。
02:15あんたはどうしたいの?産みたい。けど、姉の言葉を遮るように、母が叫んだ。産みなさい。彼と別れてでも、産みなさい。お母さんが手伝うから、責任も持つ。だから、絶対に産みなさい。それは、親としての覚悟だった。一人の女性として、命の重さを誰よりも知る母が、娘の人生を丸ごと背負うと決めた瞬間だった。姉の目から、咳を切ったように涙が溢れ出した。翌日、姉は彼に言い放った。下ろすなら別れる。
02:43けど、姉の言葉を遮るように、母が叫んだ。産みなさい。彼と別れてでも、産みなさい。お母さんが手伝うから、責任も持つ。だから、絶対に産みなさい。それは、親としての覚悟だった。一人の女性として、命の重さを誰よりも知る母が、娘の人生を丸ごと背負うと決めた瞬間だった。姉の目から、咳を切ったように涙が溢れ出した。翌日、姉は彼に言い放った。下ろすなら別れる。
02:53私はこの子を産むと、母の覚悟が伝わったのか、あるいは姉の強さに打たれたのか、彼は逃げるのをやめた。二人で育てようと、ようやく前を向いた。
03:15あの時から、数年が経った。二十歳になった姉は今、二人の子供に恵まれ、四人で賑やかに、幸せに暮らしている。私は時折、あの日の洗面所の水の音や、母の叫びを思い出す。あの時、誰か一人が欠けていても、今の幸せな光景はなかっただろう。この家族に生まれたことを、私は心から誇りに思う。
03:22ご視聴ありがとうございました。
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