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浮世絵師 北斎の娘 葛飾応為物語
宮崎あおい 松田龍平
#Japanesedrama

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📺
テレビ
トランスクリプション
00:00:00この世は円と銭でできている
00:00:21これ、こうして、円が重なっているだろう
00:00:27ポッポも丸く次に巻きついている
00:00:34これも円だ
00:00:37でもっと、頭に三角を二つ持っていると
00:00:47おー
00:00:54おー
00:00:59おー
00:01:02おー
00:01:03おめぇ
00:01:04まさか
00:01:06あたしはただ、おのれの手のひらの中に初めて置かれた筆が嬉しくてたまらなかった
00:01:25クラクラした
00:01:40それ見たことか
00:01:423年も経たずに夫婦別れなんて
00:01:46あたしはね、ずーっと思ってたんだよ
00:01:49いつか店主に愛想つかされるんじゃないかってね
00:01:53買ってきままをするからだよ
00:01:58不器量なくせに化粧もしない、髪はぼーぼーも身を構えもしないでさ
00:02:08だいたい世間には鳥の合わない組み合わせなんてごまんとあるんだよ
00:02:13お腹じゃない、不熟なんだよ、近頃の夫婦は
00:02:17え?
00:02:18また恥やりやしたね
00:02:20おい、こんな足首で歩けるかい?
00:02:25あ、はい、確かに
00:02:28またザル耳だよ、そんなとこだけお父っちゃんに似ちまって
00:02:35それじゃなくても女だてらに絵筆しか持たない変わり者だとか
00:02:40平気でまくれよ書いてるんだとか知れ渡っちまったもんだから
00:02:44いずれさままが尻込みしちまってさ、ようやく決まってるんだっていうのに
00:02:50言い返さなくていいんですかい?
00:02:52言い返してどうする?
00:02:54口応えなんかしようもんなら帰って長引か?
00:02:58だいたい絵なんか描いて何になろうってんだい?
00:03:03え?
00:03:09なあ、お前さんも悪いんだよ、小さい頃から甘い顔して
00:03:14お絵は自分とレイフでお持ちやがった
00:03:17こいつは見どころがあるなんて目尻下げるもんだからさ
00:03:21さあ
00:03:22お、何にしゃあわんだい、おうなり
00:03:25それぐらいの、しっかり本域になっちまって
00:03:30この子はね、弟子じゃないんだよ
00:03:33娘なんだよ
00:03:34こと、絵についちゃどんなに偉いお殿様の言うことも聞かねえ
00:03:38北斎先生でも、女房には何にも言えねえってんですけど
00:03:42アハハハハハハ
00:03:44男は所詮女の出がらしだよな、サカラ甘いってね
00:03:48おいおい、口ほかしてる今あったら、とっとと手動かせ
00:03:52はーい、天使じゃないって言ってる先かな
00:03:55さてここは江戸の勢い市葛飾北斎の仕事場だ
00:04:16なかなかの散らかりをだろ
00:04:19仕方ねえ
00:04:20親父殿つまりここの主が掃除するのを嫌がるんだ
00:04:24ちなみにそこの雲の住む親父殿のお気に入りだ
00:04:29役者へ枕へ読み本の冊子へ何でもやるのが親父殿の流儀だ
00:04:35親父殿が顔姿を描き細かいところは弟子の仕事
00:04:40そうやって師匠の画風や筆遣いを目に刻み込む
00:04:46親父殿がどんなに長売れようと決して鍛錬怠らないもんだから
00:04:50私らは足を引っ張らないようついていくだけでてんてこまえだ
00:04:55半勝だ
00:05:06私が一番早いよ
00:05:15瀬戸部町じゃねえか
00:05:25そこも調査でいいか
00:05:27いやそこまで南じゃないね
00:05:30待ってくれ
00:05:37何や
00:05:38いや
00:05:51なんて色だ
00:05:55せわねえな
00:06:01前さん
00:06:04どうせどうやったらあんねえと出せるのか考えてたんだろう
00:06:07何してんだいこんなとこで
00:06:09そりゃお姉と同じ
00:06:11水狂さ
00:06:12水狂
00:06:14バカ言え
00:06:16みんな大変な思うしてるってやのに
00:06:18ああ
00:06:19こりゃひで
00:06:20風の噂で聞いたぜ
00:06:26誰かさんの旦那が描いた絵を鼻で笑って出戻ったって
00:06:31はあ
00:06:33そんな噂が出回ってるのか
00:06:37まあちげえねえけど
00:06:40ちげえねえのか
00:06:42大江らしいや
00:06:46この全二郎も前にうちに出入りしていた浮世石の一人だ
00:06:53画号は経済永戦
00:06:56そっちは近頃ケーキーらしいね
00:07:00あのバキン先生に気に入られたって
00:07:03昔はあたしと同じ空っぺただったくせに
00:07:08ああ
00:07:08空っぺた
00:07:10おめえの色気のねえ枕屋と一緒にするね
00:07:13なぜさん
00:07:20おめえはなんでなんか描いてる
00:07:24なんでいきなり
00:07:26なんか
00:07:27それとも全員か
00:07:30いい女だくためだ
00:07:38他に何があるの
00:07:42大人が真面目に話してんのに
00:07:45ははは
00:07:47ははは
00:07:49おめえの
00:07:58オランダ国から絵の注文
00:08:00ええ
00:08:01それがそのシーボルとって先生は
00:08:04北斎先生の絵が好きねえ
00:08:06世界一の絵師だって言ってくってんだよ
00:08:09うんうんうん
00:08:10
00:08:11江戸の絵なら何度も言ってくる
00:08:13それが
00:08:14一つお望みがあるそうで
00:08:19ランガです
00:08:20ランガ
00:08:21ええ
00:08:22ランガってえと
00:08:23西洋の絵だ
00:08:25ええ
00:08:26北斎に西洋の画法に挑んでほしいんだったよ
00:08:29なんで
00:08:31ええ
00:08:32俺の腕を試そうってすっぽうか
00:08:35面白いじゃねえか
00:08:38おやじ殿はそのオランダからの注文を15枚の絵とし
00:08:44そのうち12枚の下絵をあっという間に仕上げ
00:08:47残りは一番弟子の靖さんとあたしが描くことになった
00:08:51あたしの画題は
00:08:54遊女だ
00:08:55ランガっていうのは見えたものをそのまま描き写してやがる
00:09:00
00:09:02一所でも色が濃く薄く
00:09:06いいねえあんたは
00:09:21いつ見てもいい色だ
00:09:25へえ
00:09:27こいつが噂のカナリアどいか
00:09:30おお前座
00:09:33久しぶりじゃねえか
00:09:35どうよ
00:09:37みんな壁がパンパン膨らがれそうなのを熱入れてとっくんでるんで
00:09:40へえっていうか迷ったぜ
00:09:42へへへへへ
00:09:44驚いたろそれ
00:09:46馬金先生が親父だのにってな
00:09:49なあ
00:09:50なんせ馬金先生と奥さんやがりしていや
00:09:54こいつに雑魚を加えさせろうだと
00:09:57そうだ
00:09:58ヘッシは黙って言うことを聞け
00:10:01誰がそんな来たレーズ見て喜ぶってんだい
00:10:08そうも言うんなら
00:10:13てめえが口に加えてみやがれ
00:10:16それ以来ケンカ上がるで20年一度も組んでね
00:10:21今でもかわすたびにほやおなかだって聞いたのによ
00:10:25おやじ殿の絵を見りゃなるほどと思わ
00:10:40けどいざ乱画と考えたとたに手出しができなくなるんだ
00:10:46ざまねえよ
00:10:48勇者なのぞ書き慣れてるはずな
00:10:52そうか
00:10:54俺にはお面がパンパン膨れて見えるぜ
00:10:59それ
00:11:00また自分で色作ってるんだろ
00:11:02ああ
00:11:03私の作る色はおやじののお気に入りなのさ
00:11:07料理はトントできなくても石や根っこを干したりにいたりするのは苦にならないからね
00:11:13本当が?
00:11:16本当は己で思うが色を支配してみたいと思ってんじゃねえのか?
00:11:25おめえは昔から色に目がね
00:11:27どうやったら乱画みたいな見たこともね色味が自分に出せるのか
00:11:31試したくて書きたくて仕方がねえんだ
00:11:37違うよ
00:11:39買うよ
00:11:40私はただおやじのものの役に立とうと
00:11:46俺は相手に知らきれねえぜ
00:11:50おめえは前から書きたいよ
00:11:52ずーっと胸の中で温めてる
00:11:54そのちっこい胸によ
00:11:56ちっこいは余計だ
00:12:00焼けるねえ
00:12:02おめえは目指すべきものを持ってる
00:12:10何訳の分かんないこと言ってんだい
00:12:12ちょっと売れたからって上から物言いやがって
00:12:15俺が今何て言われてるか知ってるか?
00:12:19ケイサーエーセンは北斎の再来化だぜ
00:12:24合技じゃねえか
00:12:26ああ
00:12:28親父でもよくいい暮らしてたな
00:12:31技を磨きてえのは真似て真似て体の中に叩き込め
00:12:35技もねえのに画風がどうなってよそ見をすりゃ
00:12:38先は行き止まりだってね
00:12:41けどよ
00:12:42ふへへ
00:12:46再来じゃあな
00:12:49私はまだそのとこ行き着いてもいない
00:12:53そしたらもっと親父の方が思うように描けるのか
00:12:56親父殿の絵の役に立てんのか
00:13:03よし
00:13:06いいとこ連れてってやる
00:13:09まだ仕事だ
00:13:10ああ
00:13:12たまには仕事なんか売っちゃるもん
00:13:14ほら
00:13:21どうした?
00:13:23ちょっとそこまで
00:13:24ほんりー
00:13:27ほんりー
00:13:29からすりー
00:13:31なるーるーるーならば
00:13:33はぁ
00:13:37はぁ
00:13:39どんでー
00:13:41ぶきたーやー
00:13:44牛のそば
00:13:47はぁ
00:13:49つるつるつん
00:13:52つるつるつん
00:13:54はぁ
00:13:55はぁ
00:13:56つるつるつん
00:13:58はぁ
00:13:59はぁ
00:14:01はぁ
00:14:02はぁ
00:14:04はぁ
00:14:05はぁ
00:14:07はぁ
00:14:08ちりちりちんほっ
00:14:10つるつるつんよ
00:14:12こんびがやす
00:14:15たらるる
00:14:18ならも
00:14:20こんでう
00:14:22かや
00:14:24お先生!
00:14:25よう、調子はどうだよ?
00:14:26見てるお通りですよ!
00:14:38ゼンさんはかつては日本雑誌のお侍だったと誰かに聞いたことがある
00:14:45それ以上は何も知らない
00:14:59吉原一人、合戦です
00:15:03すげえ
00:15:08俺の妹だよ
00:15:15三人とも
00:15:18俺が養いきれずに芸者の沖合に預けた
00:15:23それを恨みもせず
00:15:26こうして芸を身につけてくれた
00:15:29うん
00:15:43はぁ?
00:16:10はぁ?
00:16:13おい
00:16:17ごめんごい
00:16:18ごめんごめん
00:16:20いいや私は
00:16:23ほらほらほら
00:16:24目を凝らせば
00:16:41この世のどこもかしこもが
00:16:44色の濃い淡いでできている
00:16:54人の顔も体も
00:17:15光の当たり方で色が違う
00:17:17人色じゃない
00:17:19光が強く当たっているところは色が薄く
00:17:23暗い場では色は沈む
00:17:26そうか
00:17:29光だ
00:17:32光が
00:17:37光と影が
00:17:40色や形を作っているんだ
00:17:53どうも
00:18:02どうも
00:18:03気持ちいいの
00:18:07がおじいて
00:18:11遠い近いはある
00:18:17影もついてる
00:18:22けれど
00:18:24まるでコクがねや
00:18:28あの
00:18:30書き直させてやもらえやせんか
00:18:34このままじゃ
00:18:35親父殿の名残れんなりやす
00:18:37明日納めると
00:18:38ちょっと待ってくれよ
00:18:42こんな白物納められねえよ
00:18:45ならおめえらいつ満足する
00:18:46あと3日か
00:18:49それとも30日か
00:18:513年かければきっとできると
00:18:54言い切れんのかい
00:18:56三流のクロートでも
00:19:01一流の素人に勝る
00:19:04なぜだか分かるか
00:19:09こうして恥をしのむからだ
00:19:16おのれが満足できねえもんでも
00:19:18歯をしばって世間の目にさらす
00:19:22クイトルに回ったら
00:19:26どっとどっちの仕事にかかれ
00:19:28ちょっと
00:19:30おい
00:19:31おめえが無ったり
00:19:36おめえが無ったり
00:19:36お待ちしておりました
00:20:01さあこちらでございます
00:20:03どうぞ
00:20:06いやーよくあえばありがとうございました
00:20:13どうぞ
00:20:16残りの金は明日お届けするというトラシタです
00:20:23本当にいいんですか
00:20:31もちろんですかさすがは北斎先生だってシーボルト先生も死ぬごと喜んでおられました
00:20:39そうですか
00:20:41あなた様をご覧になったんですか
00:20:46ええ拝見しました
00:20:48いかがでした
00:20:51うーん
00:20:54ああ
00:20:56遊女の絵は気になったです
00:20:59気になった
00:21:03愛はきっと北斎先生の筆じゃなかと
00:21:08行き場しとらんへったくそな絵です
00:21:11なーんか書こうとして思いに手のついてっとらんとでしょうな
00:21:17うん
00:21:18減ったくそだと
00:21:22思いに手がついてっていないなんて
00:21:27そんなことは俺で一番わかってんだよ
00:21:31申し訳しよう
00:21:33おい
00:21:43何してんの
00:21:45おい
00:21:45ノリの腕に腹が立つのさ
00:21:49ああ
00:21:54ああ
00:21:55なんであたしは絵なんてもんに見入られちまったんだろうね
00:22:06苦しいばっかりだ
00:22:25俺だっておめえ
00:22:31満足なザンしてんのよ
00:22:35もっとうまく
00:22:43もっと
00:22:45もっとって
00:22:47いつも
00:22:49願うのに
00:22:51思う先から
00:22:54柿天門が逃げていきやがる
00:22:58親父どのでもか
00:23:03あったぼうよ
00:23:06お前なんかに満足されてたまるかい
00:23:14よし
00:23:18この足を渡ったら忘れるぞ
00:23:23忘れて
00:23:25俺たちはまた
00:23:27少年入れて
00:23:29あがいて
00:23:30あがいて
00:23:31あがいて
00:23:32あがきまくるんだよ
00:23:33
00:23:34あがいて
00:23:44あがいて
00:23:47あがいて
00:23:47あがいて
00:23:48
00:23:49
00:23:50
00:23:51
00:23:52
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00:23:59
00:24:00
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00:24:08
00:24:09
00:24:10
00:24:11
00:24:12くわねえかい
00:24:13なあ
00:24:14前さん
00:24:15きてくれないかねうちに
00:24:17はぁ
00:24:18おえいの向こうに入ってもらうってことだよ
00:24:22そしたらお前さんだって安心していいとできるし
00:24:26俺は陰居なんかしねえよ
00:24:28向こう用紙なんかいるかい
00:24:31ちょいとお母さん
00:24:33何勝手に話してんだい
00:24:35だってさお前
00:24:37あら
00:24:39前さ
00:24:41今の聞かれちまったかねえよ
00:24:43あら
00:24:45そもいつも余計なこと
00:24:48おいしろ
00:24:52大丈夫か
00:24:53お前さん
00:24:54お前さん
00:24:55お前さん
00:24:56お前さん
00:24:57お前さん
00:24:58お前さん
00:24:59お前さん
00:25:00お前さん
00:25:01一緒だ
00:25:03一緒だ
00:25:04目指してくれ
00:25:05一緒ぐらい
00:25:06一緒ぐらい
00:25:07プレイ
00:25:08大将だからさ
00:25:09はい
00:25:13アルムシルシュワチュウキデゴザルゴ
00:25:43一度寝ついてしまえば
00:25:47いずれここも保険
00:25:50親父殿が倒れたという噂は
00:26:02すぐに江戸だけではなく
00:26:04諸国の藩元や絵師に知れ渡った
00:26:08どうもありがとうございました
00:26:10おやじ殿の解放に専念してください
00:26:12おやじ殿の解放に専念してください
00:26:26おやじ殿の解放に専念してください
00:26:38ありがとう
00:26:40ありがとう
00:26:41おい 市長さん
00:26:45こっちに頼ま
00:26:46はいよ
00:26:47あーーー
00:26:52うまく飲めたねー
00:26:56お映画作ってくれたのさーねー
00:26:59あー
00:27:01あー
00:27:02ちょうどよかった
00:27:03下帯をきれいに洗っといてくれ
00:27:05もう買いがないんだ
00:27:06いやお母さん
00:27:07ん?なんだい?
00:27:09もう10日だ
00:27:13おやじ殿
00:27:16そろそろ筆を持つ10連始めてみても
00:27:24なんだって?
00:27:26養生してる最中の親に向かって
00:27:29よくもそんな
00:27:31でもこれじゃまるで赤ん坊だ
00:27:34なお母さん
00:27:36おやじ殿は
00:27:38おやじ殿にとって絵を描くってことは
00:27:41ぶないよ
00:27:43これ以上どこにかじるスネがあるんだよ
00:27:48ひどいよ
00:27:49お前はひどいよ
00:28:04おやじ殿
00:28:05おやじ殿
00:28:06はい
00:28:07それで
00:28:24ご視聴ありがとうございました
00:28:54ご視聴ありがとうございました
00:29:24ご視聴ありがとうございました
00:30:24こんな吐き溜めで
00:30:26甲骨としよって
00:30:28エシー風情がこのまま
00:30:36枯れ木のごとく枯れ果てようと
00:30:38わしには何の通用もござる
00:30:41人並みの王女を望もうとも
00:30:45わしの知ったことじゃない
00:30:46わしは
00:30:58かような王女は
00:31:02望まぬな
00:31:04たとえ右腕が動かずとも
00:31:10この目が見えぬ死儀に至りても
00:31:13わしは必ずや下作を続ける
00:31:17まだ何も書いておらぬ
00:31:20おのれの思うように賭けたことなどは
00:31:23ただの一度もござらぬ
00:31:25その王も
00:31:27さようではなかったのか
00:31:31カチシカオクサイ
00:31:41いつまで養生しておるつもりだ
00:31:45これでもう満ち足りたのか
00:31:49いがきたきこと
00:31:52いだみたきことは
00:31:54まだ山とあるのではなかったのか
00:31:57やら
00:32:03そなたがご兵さんか
00:32:14せったくでとれた
00:32:18柚子だ
00:32:19これを細かく刻んで酒を加え
00:32:21焦がさんのように煮詰めろ
00:32:22水飴のごとき様子にならば
00:32:25火からおろし
00:32:26左右で割って
00:32:27口に含ませて
00:32:28柚子と酒
00:32:30さよ
00:32:31酒の毒は煮詰めれば飛ぶ
00:32:35柚子を刻むは竹べら
00:32:38煮るは土鍋に限る
00:32:44どうしたどうした
00:32:57どっか痛むのかい
00:32:58無茶しないどくれよ
00:33:02骨でも折れたら
00:33:04おえ
00:33:06おえ
00:33:10おえ
00:33:11よーよー
00:33:16あいた
00:33:22あいた
00:33:34あいた
00:33:35あいた
00:33:36あいた
00:33:41あいた
00:33:55あいた
00:33:59あいた
00:34:07あいた
00:34:09私は柚子を刻み続けた
00:34:11これさえ飲んだら
00:34:13必ず元に戻れる
00:34:15親父殿は
00:34:17そう信じているようだった
00:34:19おい
00:34:21おい
00:34:22はい
00:34:23はい
00:34:27はい
00:34:31はい
00:34:33おい
00:34:35おい
00:34:37帰ったよ
00:34:39おい
00:34:41帰ったよ
00:34:43また作ってるのかい
00:34:59もうなくなると思うと見計らったみたいに届けてくれるんだよ
00:35:04ありがとう
00:35:05ありがとう
00:35:06ありがとう
00:35:07ありがとう
00:35:20おい
00:35:21お父ちゃんを頼んだよ
00:35:23お父ちゃんを頼んだよ
00:35:25お父ちゃんを頼んだよ
00:35:26お父ちゃんを頼んだよ
00:35:27お父ちゃんを頼んだよ
00:35:28お父ちゃんを頼んだよ
00:35:49季節が変わった頃
00:35:52親父殿は
00:35:54絵こそまだ書けないものの
00:35:56筆を持っても落とさないところまでは回復した
00:36:10亡くなったのは
00:36:12お母さんだった
00:36:22どうもお果たせしました
00:36:24ありがとうございました
00:36:26お迎えしました
00:36:28お迎えしました
00:36:30お迎えしました
00:36:34久保生地交代
00:36:40こそ
00:36:42いや
00:36:43どうしたこんなところで
00:36:46おつい気じゃねぇか
00:36:48西村屋に品を収めた帰りだよ
00:36:52親父殿に安屋と大福持ちさ
00:36:56もう帰ってるらしいじゃないか
00:36:59お医者も目へ回るとしてる
00:37:04もう二度と書くことを手放すまいって思ってんだろうな
00:37:10おめえは?
00:37:15おめえも書いてるんだろ
00:37:19私か
00:37:22私何なんだろうな
00:37:29親父殿のことばっかり考えて
00:37:36私ちっともお母さんのことなんか思いも使わなかった
00:37:45そうさ
00:37:50私は親父殿を
00:37:53親父殿の絵を失うのが怖かったんだよ
00:37:57親よりも絵が大事なんて
00:38:03私ってやつだ
00:38:05大丈夫だよ
00:38:10お母さんきっと全部わかってる
00:38:12分かってるさ
00:38:18大丈夫
00:38:21ジェイさんにもいろいろ世話になったな
00:38:31お母さんの述べ送りには妹さんたちや
00:38:35おたきさんだっけ
00:38:37あの人も来てくれて
00:38:40あんたありがたかったよ
00:38:45そうか
00:38:47おたきも行ったのか
00:38:49あいつ毎日顔つき合わせてるのにそんなこと一言も言いやがらないから
00:38:56毎日
00:39:01なあ
00:39:06今一緒に住んでる
00:39:20どうだっすか
00:39:22これこれ
00:39:24これどうだっすか
00:39:35なにこの青
00:39:37へへ
00:39:38ベロよ
00:39:39浮世絵でこのベロ使ったら俺が初めてなんだよね
00:39:42親父殿に見てもらいたいと思ってよ
00:39:45深い青だ
00:39:49普通の愛じゃないねこれ
00:39:52どうよ
00:39:53さすがおえいだ
00:39:57おめえに先に見せるんじゃなかったな
00:40:02親子ともともあっとのけぞらしてるつもりだったのによ
00:40:07
00:40:13どうした
00:40:19具合でも悪いのか
00:40:37どうする
00:40:40びん
00:40:41びん
00:40:43ぃん
00:40:44ぃん
00:40:45
00:41:03ゼンさんの優しさは毒だ
00:41:20私はとうとう
00:41:24毒を食らう
00:41:27めまいがした
00:41:33一度限りと思ってたのに
00:41:52こんなことになっちまって
00:41:54おたきさんに気がささないのかい
00:41:58さすよ
00:41:59私はあの人嫌いじゃない
00:42:01ほんとかね
00:42:04いっそ奪っちまいたいと思ってるんだな
00:42:06うるさいうるさい
00:42:08私はきっと相手は誰だってよかったんだよ
00:42:12たまさか気の合う男がそばにいただけのこと
00:42:15これから先どうなるかなんて
00:42:18しおにくれんのまっぴらごめんだよ
00:42:21いいねえじゃないか
00:42:27朝になれば家に帰っていかんだから
00:42:31あれ誰と喋ってんですか
00:42:36昼がえ
00:42:37じゃあ
00:42:41足はこれで
00:42:42行こう
00:42:47安家さんは独り立ちすることになった
00:42:55親父でもは七重にして腰が伸びた
00:43:04おやじどの火事です
00:43:15さくま城のあたりだって
00:43:17もう京橋あたりまで火が来てるって
00:43:19そりゃあ芝まで火に飲まれるぞ
00:43:22おやじどの火事です
00:43:29さくま城のあたりだって
00:43:31もう京橋あたりまで火が来てるって
00:43:33そりゃあ芝まで火に飲まれるぞ
00:43:37じゃあ前さんの住む総十郎長も
00:43:39おやじどはよく燃える
00:44:04前さん
00:44:09天を焦がし
00:44:11朝焼けでも夕焼けでもない色を見せる
00:44:15前さんの家は焼け落ち
00:44:18それから三年
00:44:20生きていると噂は聞くものの
00:44:22姿を見せることはなかった
00:44:34あの気中の大火で
00:44:52手前でも西原屋は
00:44:55大義な反義のすべてを失いました
00:44:58うちだけじゃない
00:45:01江戸の藩元のほとんどが
00:45:04同様のありそうです
00:45:06でもうちは
00:45:09だからこそ
00:45:12やってやりたいんです
00:45:14こいつは大爆死になるな
00:45:19ねえ
00:45:22わいじどのは何を書く
00:45:25そりゃあもう決まってる
00:45:31お待たせいたしました
00:45:41これは
00:45:49親父殿はどんどん藤を書き
00:45:54西村屋は富岳三十六景と名付け
00:45:57成り物入りで売り出した
00:45:59他の仕事は一切私が引き受けた
00:46:02富岳三十六景は売れに売れまくって
00:46:10新しい名所への流行りを作り出し
00:46:13日本諸国
00:46:14北は松前
00:46:15南は砂州まで
00:46:17あらゆるところで
00:46:18親父殿の富士が拝まれるようになった
00:46:21北斎の名を知らぬ者はいなくなった
00:46:25途中で落とすんだねえぞ
00:46:27はい
00:46:28ねえさんいただいていきます
00:46:30北斎さん
00:46:33北斎さん
00:46:33あしらはこれでいい?
00:46:34あっ
00:46:35はい
00:46:36はい
00:46:42ありがとう
00:46:50あしらもこれで
00:46:52失礼します
00:46:52北斎さん
00:47:00すめ
00:47:18すめ
00:47:19散絡でしたねえ
00:47:21変わりねえ、見ていたな。
00:47:26なんだよ、その人ら。
00:47:28びっくりしすぎだろ。
00:47:32変わりねえわけねえだろ。
00:47:35何年経ってると思ってんだ。
00:47:38ご挨拶だな。
00:47:41桜餅買ってきたのによ。
00:47:44親自分は?
00:47:46英科研出かけちまったよ。
00:47:49そっちは。
00:47:51ん?
00:47:53根津でジョロイヤしてるなんて聞いたけど、嘘だろ。
00:47:59ああ、本当さ。
00:48:02初代持ってジョロイヤ始めた。
00:48:06そうか。
00:48:10しっかり。
00:48:15ますます売れっ子だってんのに本当に変わりねえな。
00:48:19もうちょっといい暮らしできそうなもんだ。
00:48:21食って寝られりゃ上等だよ。
00:48:24おかげさまで。
00:48:26酒もタバコも好きなときに好きなだけ味わえる。
00:48:30私は帰ってさえいれば幸せさ。
00:48:37こないだの菊にあぶ。
00:48:44あれおめえの筆だろ。
00:48:46あぶはおやじだ。
00:48:49でも菊はおめえだ。
00:48:52それからボタンに蝶。
00:48:55あっちは花がおやじなので蝶がおめえ。
00:48:59あたりか?
00:49:01分かっちまんのかい。
00:49:05そりゃよくねえな。
00:49:08おめえの絵には色気がねえからな。
00:49:10ほっとけ。
00:49:16おめえももうてめえの名前で注文が来てるらしいじゃねえか。
00:49:19これからはもっとノリの名前で書けばいい。
00:49:26おやじ殿はあたしにとっちゃ光だよ。
00:49:33まばゆすぎて到底届かない。
00:49:38それにおやじ殿の名で書いた方がよっぽど高く売れるってのにさ。
00:49:43これ桜か?
00:49:50ああ。
00:49:52向島の料理屋から受けた注文よね。
00:49:58灯籠と。
00:50:01こっちも灯籠ってこと。
00:50:03これ夜桜か?
00:50:06座敷に飾ってお客の目に触れるのは夜の宴だろ。
00:50:09ぼんぼりを灯した薄闇の所の間には、こういうのもいいかと思ってさ。
00:50:16夜に夜の景色見せるのか?
00:50:20夜の闇の中にも、ひくらだって光と影があるだろ。
00:50:27闇のおかげで、光もいろんな色を見せる。
00:50:33この子は今、灯籠の明かりを頼りに歌を読もうとしてるんだ。
00:50:43夜にはきっと、昼には書けない歌が読める。
00:50:48ほんと、おめってやつは。
00:50:58おめえはほんと、おのれの腕を上がっちゃえねえんだよ。
00:51:04あけれるほど。
00:51:05どういう意味だ?意味がわからない。
00:51:13俺にとっちゃう目の光ってことよ。
00:51:19クラクラする。眩しい光だ。
00:51:23眩しい光だ。
00:51:32俺はもう絵を描かねえ。
00:51:36おめえを描き続けろ。
00:51:53眩しい光だ。
00:51:54眩しい光だ。
00:51:56眩しい光だ。
00:51:57眩しい光だ。
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