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00:00賃金アップの切り札になるのではと期待される新しい働き方が広がっています。
00:132年前までパートとして働いていた女性。勤務時間はそのままですが、ある変化が。
00:23今、パートのように短時間で賃金は正社員並みの短時間正社員という働き方が広がり始めています。
00:45人手不足が原因の倒産が過去最多となる中、人材確保の切り札と期待されています。
00:54週3でも週4でも、もし働いていただけたらありがたい。
00:59短時間正社員という働き方。働く人や企業にはどんなメリットが?そしてその課題とは?
01:08今、様々な働き方が広がっていますが、正社員とパートの間にあるのが短時間正社員です。
01:23正社員のように期間に定めのない無期雇用ですが、勤務時間は短時間。
01:30それでも安定した給与や福利構成が得られます。
01:35今、医療や介護、スーパー、運送業、さらに自治体などにも導入され始め、フルタイムでは難しい子育て世代やシニア層なども活躍しています。
01:49短時間正社員とは、一体どのような働き方なんでしょうか。
02:06看護師の奥島凛さん。週4日の勤務ですが、奥島さんは正社員です。
02:21私今、2歳と5歳の子供を育てているんですけれども、ライフワークバランスを保つために、週4のお仕事を探していたので、母親としてもうれしい部分はあります。
02:38以前は総合病院に勤めていましたが、体力的に続かず退職しました。
02:45今思えば、すごい無理した生活をしていたと思います。
02:50夜勤明けも4時間ぐらい残業して、だんだん体も疲れてしまって、心も疲れてしまった。
02:59退職後はパートとして働いていましたが、収入は大幅に減りました。
03:07賞金からすると、やっぱり7、8万ぐらい低かったですので。
03:16子供のために収入を増やしたいと悩んでいた時期。
03:23偶然見かけた求人情報で、働く時間が短くても、正社員として働ける会社があることを知りました。
03:32自分が求めていた職場があったなって感じました。
03:39給料面がやっぱり違うってところが一番ですかね。
03:48こちらの会社では、週5日のフルタイムに対し、週4日、週3日の勤務日数に合わせて給与が支払われます。
03:58社会保険などの福利構成も、正社員と変わらず、ボーナスに昇進もあります。
04:07こうした仕組みを導入したのには、企業側の狙いもあります。
04:17増え続ける看護師の離職を食い止めようというのです。
04:22人手不足の中で、やっぱり職員さんが辞める理由ってさまざまだとは思うんですけども、週4日、週3日という働き方ができれば残っていただける、そういった仕組みが必要だなというところからスタートしました。
04:37医療現場では現在、最大で27万人の看護師が不足していると推計されています。
04:50一方、看護師の資格はあるものの、働いていない潜在看護師は70万人と推計されています。
05:02それってすごくもったいないことだと思うんですよ。働ける能力があって、働きたいという気持ちがあるのに、自分のライフワークの中で働けなくなると。
05:14ここで働く坂口さんも、週4日勤務の正社員です。
05:19以前は別の会社でフルタイムで働いていましたが、この働き方を希望し、県外から引っ越してきました。
05:321週間の中で1日増えることだけでも、自分の心のリフレッシュとか体力的にも楽になる。
05:40あとは高齢の親がいて、茨城に帰って面倒を見たり、最近ハマっていうのは温泉ですかね。
05:49この会社で働く社員は増え続け、設立時の5人から113人になりました。
06:00その4割が短時間正社員です。
06:10短時間正社員という働き方を、従業員の意欲の向上につなげようという企業も出てきています。
06:22どうぞご利用くださいませ。いらっしゃいませ。
06:27全国で食品スーパーなどを展開する流通大手。
06:32およそ12万人いる従業員のうち、8割以上がパートです。
06:37こちらの会社では、3年前から社内試験の合格を条件に、パートの時給、省与、退職金を正社員と同等にする取り組みを始めました。
06:56省与が上がりました、以前の3倍ぐらいに、はい、ありがとうございます。
07:0817年前からパートとしてこの会社で働いてきた羽生紀子さん。今年2月に社内試験に合格しました。今はベビー用品売り場のリーダーとして働いています。
07:27こちらのベビーカー、ちょっとコップの方が弱かったので、ちょっと大きいものを作り直しております。
07:37以前より売り上げに貢献したいという気持ちが強くなり、上司にも積極的にアイデアを提案するようになりました。
07:46こちらはベビーカーとチャイルドシートのセットだったんですが、前はチャイルドシートとベビーカーと別々に置いてあったんですね。
07:59今はセットだということが分かりやすくセッティングしました。
08:07パートから短時間正社員になった人の活躍に、会社も大きな期待を寄せています。
08:13今働いているパート社員の皆さんは地域の住んでいる人でありますし、子育て世代の方が多いので、むしろ我々のお店のメインターゲットになる人たちなんですね。
08:29経験に裏打ちされたトークっていうのは、やはりお客さんに刺さりますし、やはり接客に対しての購買の率というのは飛躍的に上がります。
08:40パートを短時間正社員にすることで、会社側は給与や福利構成などの人件費が増えることになります。
08:51しかし会社はそれを投資と捉えています。
08:58セルフレジの導入など、DXを進め、コストカットできた分で、従業員を育てていくことが、長期的に会社の利益につながると考えています。
09:13人への投資、それは教育であったり、こういうチャレンジの場を作ることであったりしますけれども、やっぱりレベルアップをしていただいて、その分が生産性として返ってくる、それを期待している。
09:30人数まだ160人ということですので、早く1000人を超える体制に持っていきたいというふうに思っています。
09:39今夜は日本と海外の労働政策に詳しい田中陽子さんをお招きしています。よろしくお願いします。
09:45今、注目される短時間正社員ですけれども、働く側と企業側、それぞれどんなメリットがあるのか、こちらで整理していきたいと思います。
09:54まず働く側は大きく3つメリットがあるんですね。
09:59働いている人というのは、本当に一人一人、育児とか介護とか、あるいは体調とか、さまざまな生活条件の中で働いているわけです。
10:10その中で例えば正社員の人で、ちょっと今の状況ではフルタイム、残業というのはもうきついというような人でも、この制度があれば、会社を辞めることなくキャリアを継続していくということができるわけです。
10:25例えば介護離職なども減らせる可能性があります。
10:30それからパートの人は、生活に合わせた働く時間の短さのもとで、正社員と同等の賃金とか待遇を得ることができます。
10:42また今は働いていない、子育て中、介護中などの、あるいは体力に自信のない支援の人たちも、短時間正社員なら働きたいということで、働ける可能性が出てきます。
10:55そして企業側には大きく2つメリットがあるんですね。
10:59今本当に人手不足が深刻化しているので、まずこの制度の導入によって離職者を減らすことができます。
11:07また同時にこれまでパートだった方に意欲的に活躍してもらって、人材を確保していくということもできるわけです。
11:15なるほど。ということで、短時間正社員、メリットが多いわけですけれども、実はこんなデータがあります。
11:21こちらは去年、ある人材サービス会社が行った、働く意欲のある主婦を対象にしたアンケートなんですけれども、
11:29短時間正社員で働きたいですかという質問に対して、65.9%が働いてみたいと答えたということなんですね。
11:38では実際、制度どれくらい広がっているのかといいますと、こちらは厚生労働省の調査では15.9%しか制度を導入していないということで、なかなか広がっていないようですね。
11:53この数字っていうのは、小さい子どもとか、あるいは介護の必要があるとか、そういう法的な条件がついた時短勤務のことなんですね。
12:02それを採用している企業の割合になります。
12:05今見てきたような、人を確保したいというための短時間正社員制度の導入っていうのは、本当に数は限られていて、だけど最近になってすごく導入が進んでいる、そういうものです。
12:18つまり、育児とか介護を理由に、時短勤務をしている短時間正社員を除いた数字っていうのは、実際どれくらいのパーセンテージだと。
12:27まだ相当少ないと思います。
12:29数パーセンタートレベル。
12:31そうですか。ということで、まだ導入する企業が少ないのが現状ですけれども、その理由を探ると、企業側にさまざまな壁があることが見えてきました。
12:44働きたい主婦を主な対象として、就職先の紹介を行っている会社です。
12:51この紹介会社では、主婦たちのニーズに応えるため、さまざまな企業に短時間正社員としての採用を提案しています。
13:03実際にお声掛けをして、お客様にご提案をしても、なかなか制度がないですとか、短時間正社員を導入した実例がないことで、どうやって扱っていいか分からないっていう、そういう声が多くて、求職者のニーズと比較すると、まだまだ圧倒的に数が足りないです。
13:24企業側に意見を聞くと、導入することへのさまざまな不安があるといいます。
13:36業務を任せるときに、どれくらいできるかも分からない中で、フルタイムだとしたら、仕事の能力的にまだまだこれからだよね、だとしても、最悪を時間でカバーというか、時短前程だとそれもなかなかできない。
13:51さらに、会社のルールを見直す必要が出てくることへの懸念もあるといいます。
14:00当社の場合、みなし残業代が含まれた給料になっているんですね。そこが時短だと、残業を基本的にはしない前提になると思うので、見直し必要なんじゃないかなと思いますけど、簡単にもいかない問題かな。
14:18はい、というわけで、さまざまな壁が見えてきました。
14:21今あったように、まずはこの人事制度や働き方などのルールの見直しをする必要があるよね。
14:28そして、この人件費というのは、短時間正社員になった人への給与ですとか、社会保険料など、福利厚生のための人件費が上がってしまう。
14:37そして、こちら私たちの取材では、フルタイムの正社員の人と短時間正社員の人の間で、勤務時間に差ができますので、フルタイムに業務にしわ寄せがいってしまうじゃないかなどの心配ですね。そこから生じる不安の心配の声もありました。
14:54こうした壁ってどのようにすれば乗り越えられるでしょうか。
14:58まず、ルールの見直しについては、やっぱり残業の在り方とか、あるいは賃金の仕組みを含めてやっていく必要があると思います。
15:08その分、初期費用はどうしてもかかってしまうんですけれども、その分、それを上回る中長期的なメリットというものを取ろうとする姿勢があるかどうかが問題になるかと思います。
15:20そして人件費に関してはどうでしょうか。
15:23人件費が上がるというのは、もうすでに人手不足が進んでいて、多くの会社で人材確保にかなりのお金をかけています。
15:32例えば。
15:33例えば、看護師の場合ですね。
15:36離職者が多くて、それから求人をしてもなかなか人が集まらないということで、今は人材紹介会社というところを利用するところが増えているんですね。
15:46ところが、そこの紹介料というのが看護師1人について、平均で100万円前後ということで、そうであれば、先ほどのVTRの訪問看護の会社のようにですね、短時間正社員を導入することで、より多くの人を集めることができる。
16:05この方が実はやつ上がりだったりするわけです。
16:09導入のコストと成果のバランスって、さまざまな企業に話を聞いていて、どうなんでしょうか。
16:14実際にですね、短時間正社員を導入したところで聞きますとですね、もう本当にどこも導入してよかったと。
16:23非常に満足感が大きいということが分かっています。
16:28そしてこの社員間の不安、ここは解消するの難しそうですけど。
16:31そうなんですよね。今はすごく一部の特定の人だけが短時間正社員になっている状態だと、こういう不満が出やすいと思うんですけれども、これをですね、誰でもいつでもいろんな事情で入れ替わりながら短時間正社員になれる、そういう制度として広がることができれば、不満は消えていくんじゃないかなと思います。
16:54誰もが対象になれば不安もなくなるなるほどと思いますが本当にそうやってうまくいくのかと思う方いらっしゃると思います実はですね10年以上前にこの短時間正社員をいち早く導入し業績を伸ばし続けている企業があるんです。
17:12家具などのインテリアを扱うスウェーデン発祥の大手小売チェーンです。ここでは11年前、非正規のパート全員を短時間正社員にしました。
17:31人事制度の見直しを行い、給与アップや福利構成などの人件費は増えることになりました。しかし、会社が成長するには欠かせない経営判断だったといいます。
17:53当時はパート従業員の離職率がとても高かったのです採用した従業員が辞めることは企業にとって大きな痛手です従業員を定着させるためには対等な処遇と昇進の可能性を提示する必要があったのです。
18:17この会社では誰でもどのタイミングでもそれぞれのライフステージに応じて短時間正社員を選ぶことができます。
18:29今も短時間正社員でやらせていただいています。
18:35そのため、社員の間の不公平感や不満は生まれにくいといいます。
18:42現在のマネージャーリーダー陣でも実際にお子さんを育てながらやっている方もいらっしゃるのでそのライフステージに合わせてポジションを変えることができるのがとてもいいところだと思っています。
18:56社員が長く働き続けスキルアップしていくことは会社の利益にもつながっています。
19:05オーダーがちょっと最近増えています。
19:0811年前、パートから短時間正社員になった坂本由紀子さんです。
19:15今日も一日安全によろしくお願いします。
19:18お願いします。
19:19今では部下12人、フルタイムの正社員として物流部門のチームリーダーを務めています。
19:27もともと坂本さんはレジ担当のパートでした。
19:39短時間正社員となって3年後、希望して週40時間のフルタイムとなります。
19:482人の子供が大学生になり、自分の時間に余裕が生まれたからです。
19:58現在の物流部門に移ったのは5年前。
20:03コロナ禍でオンライン販売を拡大する方針が打ち出されました。
20:08坂本さんは増設されたチームリーダーの社内公募に手を挙げたのです。
20:19これはチャレンジしない手はないだろうと。
20:22全く違う畑といいますか、内容は全く違いますけれども、
20:26ぜひやらせてくださいということで、またちょっとチャレンジを。
20:30当時、物流センターには最新の機器やロボットが次々と配備されました。
20:39リーダーはその操作にも精通しなくてはなりません。
20:45さらに高度な資格も求められます。
20:50火災を防ぐため、倉庫の中は低酸素状態になっていて、
20:56中に入るには特殊な資格が必要です。
21:03酸素欠乏流化水素危険作業特別講習を取得しております。
21:12一生懸命、もう覚えているとか、追いついているというか、本当にいろんなシステムとか、いろんなものの使い方とか、どんどんどんどん入ってきますので。
21:21この会社では、全員が正社員として、さまざまな研修や訓練を受けてスキルアップし、
21:32新事業にもスピーディーに対応することができました。
21:38その結果、正社員化からの10年、売上高は世界経済が落ち込んだコロナ禍を経ても順調に伸びています。
21:50企業を動かしているのは、現場で働く人々です。
21:56人間を中心に据えた経営をすることで、私たちはより迅速に変革を起こし、画期的なアイデアを生み出して前に進むことができるのです。
22:09パートから正社員になった坂本さん。
22:15収入が上がり、社会保険料も自分で支払うようになったことで、家族との関係にも変化が生まれたといいます。
22:30妻とか母親としてという部分と、私個人としての部分をちょっと保てるといいますか、そこはとてもいい決断というか、いいことだったなとは思います。
22:42皆さんの期待に応えられるように、懸命に頑張っているんだろうなと思います。
22:48それに対して僕が受けた影響というのは、僕の家事が増えたかなというそれだけのことなので、負担でもないし、妻が楽しんで働いてくれるんだから、妻が喜んでいるんだからそれが一番かなと思います。
23:13本当に理想的な形を見せていただきましたけれども、これもともとワークライフバランスを重視する海外に本社がある企業だからできるんじゃないのという声も聞こえてきそうですけど。
23:30そうですね。ただし、この会社というのは日本に来てからずっと日本企業のやり方で経営をしてきているんですね。
23:41なので、完全に正社員とパートを区分する方法でやってきたわけです。
23:48当時はもうパートの離職率が高いとか、ベテランのパートの不満が大きいというですね、日本の小売企業の典型的な課題に直面していたわけです。
23:59そういう問題を解決しようとして、働く時間の長さに関係なく待遇を平等化した。
24:06そうしたらもう離職率が一気に下がって、職場の一体感が増して、働く人のモチベーションも上がり、結果的に会社の業績も向上しました。
24:18つまりこれはその日本企業の経営課題というものを解決したケースとして、やる気があれば変えられるという、そういう事例なんではないかなというふうに思います。
24:30そうですか。
24:31そして短時間正社員という働き方が、国として広く浸透しているのがドイツだそうで、まさに研究をされているそうですけれど、そこから学べることってあるんでしょうか。
24:42私が研究しているドイツでは、2001年にパート法という法律ができました。
24:48どんな人でも正社員として働く時間を短くして働くことが、権利として保障されたわけです。
24:56これによってですね、働く人の全体の実に4割が短時間正社員という働き方になっています。
25:06あらゆる職種ですか。
25:07あらゆる職種です。もう本当に管理職とか取締役とか、裁判官とか、もう本当にあらゆる人を含めて、
25:15短時間正社員の制度というものを自分の生活、あるいは自分のいろんな必要に合わせて選択するということになっています。
25:24最近では、子育て世代の若い男性とかも短時間正社員を選ぶという人が増えています。
25:32それは成果として何かデータで表れているんですか。
25:34ドイツは2023年にGDPで日本を追い越したというのがね、人口が3分の2なのにもかかわらずGDPで追い越したということがありますけれども、
25:47短時間正社員の割合が上がれば上がるほど、ドイツは1人当たりの生産性が上がっているんですね。
25:55そうですか。そうなると、日本に今必要なことってどういうことなんでしょう。
26:01日本は本当にこれまでの過去の成功体験というんですかね、前例踏襲とか、そういうものにちょっと閉じ込められているようなところがあって、
26:14なかなかその状況の変化に対して、こういう要求があるんだったらこういうふうにしていこうという変革の勇気というのが少しまだ足りていないような気がします。
26:26あとは取り入れることで、その人々のライフステージ、それからスキルアップにもつながっていくんでしょうかね。
26:33はい、そうですね。これから日本はどんどん労働力不足の時代になってきますけれども、
26:39そのそれぞれの事情に合わせて時間を調整しながら意欲的に働き続け、
26:46そこでどんどんスキルアップ、レベルアップをしていく。
26:49そのことで日本経済の底上げというものにつながっていくんじゃないかなと思います。
26:54ありがとうございます。
26:55この柔軟な働き方と選択肢、いかに整えていくのか、まさに今求められているように感じます。
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