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トランスクリプション
00:00もうすっかり夏ね
00:06こうしてると暑いくらい
00:08ほんとね
00:10さ、この辺りで始めるか
00:17リハビリ
00:19またかい
00:21何言ってるの
00:22毎日、午前中1時間
00:25午後1時間やるって約束したでしょ
00:30さあ
00:34よし
00:35さあ、足を前に出すのよ
00:39少しずつ
00:411
00:432
00:46どうしたの?
00:48足を前に出して
00:51うん
00:53さあ、頑張って
00:56頑張って動かすのよ
00:591
01:002
01:023
01:04動かないよ
01:07いくら頑張ったって動かないんだからしょうがないだろ
01:10もうやめたやめた
01:11もうこんにんじゃリハビリなんかやらないからね
01:14どうせ動きゃしないんだから
01:15お母さん
01:16お母さん
01:17焼けはいけないわ
01:18気長にやりましょう気長に
01:20うるさいね
01:21あんたはそばとごちゃごちゃ行ってればいいだろうけど
01:24こっちは辛いんだよ
01:25あんた中で私の気持ちが分かりっこないんだよ
01:28もういや、いやだよ
01:30いや、もう嫌だよ、絶対や
01:32もう
01:33やめたよ
01:34お母さん
01:35信行は2人の様子に危険なものを感じていた
01:42下半身不随の高子が苛立つのは分かる
01:45そしてその苛立ちをぶつけることのできるのは純子しかいないということも分かる
01:51だが、それは確実に純子を死の淵へ追い詰めていくのだ
01:56信行は今、純子に真実を告げなければさらに命を縮める結果になることを恐れていた
02:07愛する人に死の宣告をするのはあまりにも非常である
02:12しかし、ここは医師という学級の都として非常に徹することが
02:18純子へのたった一つの愛の証になるのだ
02:23先生、お話って何でしょう?
02:38純子さんの病気のことなんですが
02:44落ち着いて聞いてください
02:51今のままの生活を続ければ
02:56純子さんの心臓は
02:59あと2年
03:01長くて3年しか持たないのです
03:04え?
03:06じゃあ純子ちゃんはあと2年の命だとおっしゃるんですか?
03:10先生、悪い冗談をしてくださいな
03:18いや、残念ながら本当です
03:23精密検査の結果を
03:25心臓医の権威である辻先生と一緒に
03:28何度も何度も検討したんですが
03:31そうとしか結論の脱証がありませんでした
03:35そんな…そんなことって…
03:42嘘よね?
03:45嘘でしょ?今の話
03:48先生、嘘だって言って
03:57嘘だって言ってください
04:00ねえ、嘘なんでしょ?嘘なんでしょ、先生?
04:07純子さん、僕は今日ほど医者であることを悔やんだことはない
04:15僕の口から、君にこんなことを言わなきゃならないなんて
04:20あまりに…
04:23しかし、言わねばならないと決心した
04:28それが医者の務め
04:30いや、僕の君への愛情だ
04:40しかし、だからと言って絶望することはない
04:44すぐに入院して
04:46医者の管理の下で絶対安静を保てば
04:49まだまだ先の可能性がある
04:52いや、必ずそうしてみせる
04:55僕の手で
04:57純子さん、すぐに入院しよう
05:01すべてを僕に任せてくれないか?
05:04純子ちゃん、そうしましょう
05:08広沢先生のおっしゃる通りにすることが一番よ
05:14純子ちゃん
05:16純子さん
05:18純子さん
05:19純子さん
05:20純子さん
05:21純子さん
05:22純子さん
05:23純子さん
05:24純子さん
05:25純子さん
05:26信じない
05:31信じない
05:33そんなこと信じないわ
05:35誰が
05:37誰が信じるもんですか
05:40純子ちゃん
05:42純子さん
05:43純子さん
05:45純子さん
05:47ジュンコさん!
05:49信じない!
05:51信じない!
05:53信じない!
05:55信じない!
06:01ジュンコさん!
06:17ヤン!ヤン!
06:21信じない!
06:23ヤン!
06:47ジュンコちゃん!
06:57おかみさん!
06:58ジュンコちゃんは?
07:00探さなきゃ!
07:01すれもどして謝らなきゃ!
07:03そうとも知らずに私
07:05無理言ったり
07:07奴当たりしたり
07:09ジュンコちゃん!
07:11ジュンコちゃん!
07:13ジュンコちゃん!
07:17おかみさん!
07:19足が!
07:47スタッフ
07:50スタッフ
07:53助けて!
07:55助けて!!
07:57助けて!
07:59助けて!
08:01助けて!
08:02いやいやいや
08:03死ぬなんてー
08:06死んだけない 死んだけない
08:08死んだけない
08:10死にたくない
08:23いいか 初心者はセリフというとすぐに言葉をしゃべりたがる
08:28だがセリフの第一の目的は 言葉の裏側に隠された感情を観客に伝えることにある
08:35だからセリフをしゃべるときには 常に言葉の裏側に隠された感情を探り当ててからしゃべらなくてはいけない
08:42いろいっ エチュードの3番を泣きながらしゃべってみろ
08:50お母さん なぜ結婚なんかするのあんな人と
08:55いやよいやいや お母さんそんなことしないって約束したでしょ
09:02好きでもない人と一緒になるなんて幸せじゃないわ 第1
09:08第1亡くなったお父さんがかわいそうだなんだそれは
09:13小学生が教科書を読んでるんじゃないんだぞ
09:17すいません 感情だよ感情ハートだ
09:23裏側の感情を考えるんだ
09:32お母さん なぜ結婚なんかするのあんな人と
09:44いやよいやいや
09:47好きでもない人と一緒になるなんて幸せじゃないわ
09:51お母さん なぜ結婚なんかするのあんな人と
09:56あんな人と いやよいやよいやいやいやいや
10:01お母さん そんなことしないって約束したでしょ
10:04好きでもない人と一緒になるなんて幸せじゃないわ
10:08第1 第1 亡くなったお父さんがかわいそうだわ
10:12好きでもない人と一緒になるなんて幸せじゃないわ
10:17のぶゆきは純子のしゃべるセリフの一言一言が
10:30まるで自分に向かって語りかけられているように思え
10:34純子がたまらなく愛おしく激しい愛の衝撃を感じていた
10:40
10:47
10:49
10:50
10:51
10:52
10:54
10:55
10:59
11:00今日は帰ろう
11:01
11:06
11:08ここには君の夢がある だがここへ来るには
11:13健康な体を取り戻さなくてはならない
11:16それができるようなことだけど
11:19
11:21いうことを聞いてほしい
11:23
11:2910個3
11:31聞いてほしいことがある
11:32
11:35僕は君が好きだ
11:37大好きだ
11:40僕と結構消し
11:44先生
11:46いやいい加減な気持ちで言ってるんじゃないか
11:48てるんじゃないか 僕は真剣だ
11:54結婚してくれるね
11:59でも そうだ
12:02彼のお母さんにも一緒に聞いてもらう
12:06信行は死の恐怖におののく純子を何としても支えたかった 心の妻としてプラトニックな愛に生きることで残るわずかな年月を幸せに過ごさせたいと思っていたのである
12:2915ちゃんと 結婚
12:35突然こんなことを言い出して 無作法者だと思いでしょうが
12:42実は 前から考えていたことなんです
12:47どうか純子さんを 僕にください
12:51お願いします
12:53なんてして
12:57純子さんどうですか あの
13:02あまり突然のお話なので純子ちゃんも 私も
13:07ごもっともです すぐにお返事をいただこうとは思っていません
13:12よくご相談なさってください 2、3日したら
13:18またお返事を伺いに参ります
13:21純子は言い知れぬ嬉しさに包まれていた
13:29純子を嫁に迎えたいという信行の一言は
13:33死への不安や絶望を拭い去って あまりある温かい思いを純子の胸に吹き込んだのであった
13:41だが針の後ろに座らされている人間もいた
13:49長々辞任に追い込まれた全之助は
13:52辞任理由が殺人強盗犯との交友であると取り沙汰されたため
13:58辛い立場に立たされていた
14:10ただいま
14:13おかえりなさい
14:16お前ずっとそうしていたのか
14:20だってお父さん
14:25お父さんやっぱりここ引き払って東京行きましょうよ
14:30純子の命があとわずかだと思ってあったし
14:35何にも手につかないんです
14:37しかしなお母さん
14:39わしら東京へ行ってもいいもんだろうかね
14:43だってこの間お父さん考えとけって
14:45そりゃまあ確かにそうは言ったが
14:48よく考えてみると無分別だったようだ
14:52そうじゃなくても純子は
14:54恐ろしい不安と恐怖を背負っている
14:57わしらが顔を見せればわしらに心配をかけまいとして
15:00またあれこれいらん気遣いをする
15:05そういう子だよ純子は
15:08それが
15:10あの子の心臓にまた負担を与え
15:14どうすることもできないですね
15:18私たち
15:21お母さん
15:24純子が耐えているのに比べれば
15:27わしらの境遇なんて
15:30
15:32はい川田ですが
15:45広沢先生
15:47あの
15:48チンコ飲みに何か
15:50いえ
15:51これといった変化ありませんのでご安心を
15:54あの
15:56電話で失礼なんですが
16:00大切なお願いがありまして
16:02はい
16:04何でしょうか
16:06
16:08純子と結婚したい
16:10いや
16:12あの
16:13
16:14それを一体
16:15どう
16:16申し上げた通り受け取っていただきたいと思います
16:19ゆうべ
16:20純子さんにも加賀のお母さんにもお話ししました
16:23どうか
16:25お許しいただきたいと思います
16:27いや
16:28しかし
16:29純子はまだ年はもういきませんし
16:31まして病気が重いとなれば
16:34先生は
16:35あの子の命があと何年も持たないということを承知で
16:39もちろんです
16:41結婚することによって
16:43それが一年でも半年でも伸びればと思いまして
16:47お母さん
16:51いかがでしょう
16:53お許しいただけるでしょうか
16:55どうか
16:57よろしいように
16:59お願いいたします
17:01はい
17:03はい
17:04失礼いたします
17:13純子に結婚話が持ち上がるなんて
17:16喜んでいいのか
17:19悲しんでいいのか
17:21悲しんでいいのか
17:30どういうことなんですか
17:31かがじんこと結婚するなんて
17:33
17:36電話を聞いていたのかい
17:39そんなのおかしいわ
17:41変よ
17:43先のない患者に
17:45同情するのはわかるけど
17:47そこまですることないわ
17:50医者として行き過ぎよ
17:52いちいちそんなことしてたら
17:54自分で自分を滅ぼす
17:56辻君
17:59確かに君の言う通りかもしれない
18:03医者としては
18:06君の言う方が正しいのだろう
18:12だが僕は
18:14医者である前に
18:17人間だ
18:18男だ
18:19一人の男として
18:22自分の生きる道を選ぼうと決心したんだ
18:26信之さん
18:28それじゃあなた
18:30そう
18:32一人の男として
18:34純子さんを愛してる
18:36辻君
18:48分かってほしい
18:50僕にはこうするしかないんだ
18:53広沢君
18:59先生
19:01君はそれでも医者かね
19:04えっ
19:05そんなことして
19:06医学徒としての倫理に戻ると思わんのかね
19:10私も
19:14君の将来については色々と考えている
19:19香織の気持ちだって十分知っているはずなのに
19:22なんていうことだ
19:26それが将来を職望されている人間のすることかね
19:30先生
19:40この話はいずれで
19:42失礼します
19:52お父様
19:53心配するな
19:55広沢君もそのうち目が覚めるさ
20:00お父様
20:06はい 広沢ですが
20:08川です
20:10公平ですよ
20:12ええ
20:15はい
20:18ねえ
20:20どうすんのさ
20:22
20:24広沢先生のこと
20:25プロポーズの返事だよ
20:26ジンゴちゃん
20:29広沢先生のこと好きなんだろ
20:32結婚申し込まれてうれしかったんじゃないのか
20:35そりゃ
20:37だったらお受けしたら
20:40ダメよそんなことできないわ
20:42じゃあお断りするのかい
20:44どうしてさ
20:48私はいいお話だと思うけどね
20:51広沢先生
20:52ジンゴちゃんの体のこと一番よく知ってるし
20:56あんなに熱心に望んでくださってるし
20:58だからダメなのよ
20:59どうしてさ
21:05うちの人のことかい
21:09確かに
21:11ジンゴちゃんと先生が一緒になれば
21:13あの人の義理のせがれってことになるわけだから
21:18世間の奴らは人殺しのせがれだって白い目を向けるようになるだろうけど
21:24でもそれは先生だって承知の上で
21:27それだけじゃないわ
21:29先生には香里さんって方がいらっしゃるわ
21:32あの研修委員会
21:36ええ
21:38香里さんは広沢先生の恩師の土真三郎教授のお嬢さんよ
21:44香里さんと結婚する方がずっと先生の将来のためになるんじゃないかしら
21:49純子ちゃん
21:51あんたそんなことまで考えてたの
21:54お母さんとにかくダメなのよ
21:56先生と結婚することは許されないのよ
21:59先生は
22:00私のことを哀れんでああいうことを言い出しただけなんだから
22:03それは違う
22:05先生そんな気で
22:07そうよそれでいいのよ
22:09
22:11この話はお断りします
22:13だから
22:15だから
22:17お母さんもそのつもりで
22:21お待ち
22:23純子ちゃん
22:24
22:26あっ
22:28
22:30
22:32あんなに苦しんでるのに勝手なしだよ
22:33
22:34
22:35
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22:37
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22:39
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22:56
22:57
22:58
22:59
23:00ジュンコ
23:08ジュンコ
23:11お父さん
23:21ここへ移ったこと
23:27よくわかったわね
23:29寿司工がスナックに変わったもんだから
23:33びっくりして広沢先生に電話したの
23:35先生が教えてくれたんだよ
23:37お父さんごめんなさいね
23:39一生懸命作ったお店手放してしまって
23:42いいんだよ
23:43山のような借金残した父さんがいけないんだから
23:47中川邦子って人と会えたの
23:52二度ばかり行ったけど
23:53いつもデカが張り込んでて
23:56私が会いに行くって言ったけど
23:59いろいろあって
24:01私もまだ会ってないの
24:03近々必ず会いに行くつもりだから
24:06ジュンコ
24:09そんなことより
24:12お前の病気
24:14良くないそうじゃないか
24:15広沢先生の言うことを聞いて
24:23入院するのが一番なんだけどな
24:25私のことなら心配いらないわ
24:29大丈夫だから
24:31けど広沢先生は後に
24:35本当に大丈夫なの
24:37だからお父さんは
24:39濡れ着の晴らすことだけを考えてほしいの
24:42ねえ
24:44お願い
24:46ジュンコ
24:50お父さん
24:52無実を晴らす資金足りないんじゃないの
24:56これ使って
25:04暗証番号は私のお誕生日よ
25:07いやいけないいけるよジュンコ
25:11これお前たちだって
25:12私たちは大丈夫
25:13お店手放した時のお金
25:16まだあるから
25:18すまねえ
25:25締めっぽい声出さないでよお父さん
25:29元気出さなくっちゃ
25:30ああ
25:34それからお前
25:37先生に結婚申し込まれたんだってな
25:43良かったな
25:46って言ってやりてえが
25:50お前
25:52断るつもりなんだろ
25:55すまねえ
25:59本当にすまねえ
26:00人殺しや強盗の権威を受けてるような親父持ってちゃ
26:04結婚できるはずねえからな
26:05お父さん
26:06さずかしこの俺を恨んでるだろうな
26:08俺さえいなきゃお前は
26:11俺なんかいっそ死んじまった方がいいんだ
26:17何を言うのお父さん
26:19いやいやそんなこと言っちゃ
26:21二度と死ぬなんて言わないで
26:23死ぬなんて言うのい
26:26死ぬなんて言うのい
26:29死ぬなんて言うのい
26:30私が死ぬはどうせあと2年しか生きられないんだもん
26:36バカなこと言うな
26:37ジュンコ
26:48バカなことを考えるもんじゃないぞ
26:51ロサー先生がどんな思いでお前に結婚を申し込んだか
26:56その辺のことを考えてみろ
26:58ロサー先生を信じて全てを任せた方がいいんじゃないか
27:04第一
27:06お前がやけを起こしてみろ
27:09母さんどうなる
27:10あんな体の母さん一人ぼっちにする気か
27:13母さんはね
27:16お前しか頼る人がいないんだから
27:19母さんのこと頼んだぞ
27:23お前
27:26いつか言ってくれたな
27:28母さんと二人で父さんの帰りを待つって
27:32父さんの潔白が証明される日を待ってくれるって
27:38父さんにはその一言だけが支えなんだよ
27:44お前が頑張ってくれてるってことだけが
27:48くじけそうな心を支えてくれてるんだ
27:52いいかじゅんこ
27:54不安や絶望に負けちゃいけない
27:56頑張って元気を出すんだ
27:58お父さん
28:04母さん頼むぞ
28:08二度と死ぬなんて言うなよ
28:15はい
28:17そうは言ったものの
28:22公平は明らかに自分の存在が
28:25順子の命を縮めていることを知っていた
28:28順子を取り巻くすべてが
28:31順子の心臓に負担をかけ
28:33じりじりと死の淵へ順子を追い詰めている
28:37そしてその原因は全て自分にある
28:41公平は我が身が呪わしかった
28:45ご視聴ありがとうございました
28:47ご視聴ありがとうございました
29:15ご視聴ありがとうございました
29:45お母さん
29:59ちょっとあんまり無理しないでね
30:01分かってる分かってる
30:03さあ帰ってお茶でも飲もう
30:05嘘で
30:07よいしょ
30:07嘘で
30:09お母さん 大丈夫?
30:14大丈夫 大丈夫
30:15使えない
30:16大丈夫 大丈夫
30:17こんにちは
30:19先日のお返事を伺いに来ました
30:26純子さん 消費してもらえますね
30:34先生 お気持ちは大変嬉しいんですが
30:38お断りさせていただきます
30:42どうしてです 純子さん
30:46私みたいなものが 先生の奥様になれると思いなんですか
30:50私は 高校中退の田舎者です
30:55いずれは博士号を取り 東亜医大の教授になろうって先生に
31:00とてもついていく自信なんてありません
31:03元々 釣り合いの取れない 無理なお話なんです
31:07そんなことはない
31:09僕は同情や哀れみから こんなことを言ってるんじゃないんだ
31:13君を愛してるから言うんだ
31:17普通の結婚のように 長くはいかないかもしれない
31:24しかし 君に充実した幸せな毎日を送らせてあげたいんだ
31:30純子さん 考え直してくれないか
31:36本当に言うとね 先生
31:46ん?
31:47私 先生にはあんまり興味ないんだ
31:51ずいぶん歳も離れてるし
31:55なんかこう 真面目すぎて 堅苦しいのよね
31:58どっちかっていうと 三上先生みたいなおじさまのほうが
32:03興味あるんだ 純子さん
32:07いろいろと心配していただき ありがとうございました
32:21純子さん
32:31僕は諦めないからね 君がその気になるまで いつまでも待つ
32:37待ってるからね
32:39純子さん 診察には必ず来るんだ
32:43来るんだよ
32:44はい
32:49いいのかい これで
32:52いいのよ
32:54本当にいいのかい
32:57いいの
33:14いいの
33:15いいの
33:21で ちょっと
33:22あ 純子ちゃん
33:24純子ちゃん
33:26
33:27
33:28
33:29
33:30
33:32
33:32
33:33
33:35
33:35
33:37
33:38
33:40
33:41
33:41
33:43じゅんこ自らが出した結論であった どう考えてもこうするよりしようがなかった
33:51だが生まれて初めて味わう寂しさに 純子は全身の力が抜けていくようであった
34:00そして 再びまた死の恐怖が襲ってきた
34:06いやいやいや 死ぬなんていいや
34:09死にたくない
34:10死にたくない
34:11死にたくない
34:12死にたくない
34:13助けて
34:14みかみもまた何としても純子を勇気づけ 死の恐怖と絶望から救い出さねばならぬと思っていた
34:22三上もまた何としても純子を勇気づけ
34:31死の恐怖と絶望から救い出さねばならぬと思っていた
34:35好きな芝居に身を委ねられたらこの恐怖から逃れることができる
34:41三上はそのためなら鬼にでも何人でもなろうと心に決めていた
34:46純子
34:47三上先生
34:50迎えに来た
34:52来なさい
34:53でも私
34:55いいから来い
34:57セリフに感情を入れるとは具体的に言ってどういうことなのか
35:05それはその感情通りの呼吸状態を作って
35:09その呼吸でセリフを喋ることだということはこの前に説明した
35:12例えばエチュードの3番は泣きながら喋るセリフだから
35:16まず泣いてる時の呼吸を作る
35:20広め立ってみろ
35:22はい
35:24泣いてる時に人間はどんな呼吸をしてる
35:29さあそれは
35:31いいかよく聞けよ
35:35感情がぐーっとこみ上げてきて呼吸が一時止まる
35:41息をしないで何秒か辛抱してみる
35:44苦しくなってきて息を吐き出したくなる
35:47だが泣いてる時大きな息を吐くことは感情が許さない
35:52だから
35:54肺の上の方だけで
35:57喉のちょっと下の方で小刻みに刻みながらちょっと息を吐いて
36:02ちょっと済んだ
36:04胸の周囲の筋肉は強く肺を引き締めてる
36:07これが泣いてる時の呼吸だ
36:09肉体的にそういう状態を作っておいて
36:13そうしてセリフを言えば
36:14泣きながら喋ってることになる
36:18よしやってみろ
36:21はい
36:22まず呼吸を作って
36:29深くすすだ
36:40もっと浅くご刻みに
36:43そうだ
36:46よし行くぞ
36:48よーいスタート
36:52お母さん
36:56なぜ結婚なんかするのあんな人と
36:59いやよいやいや
37:02お母さん
37:05そんなことしないって約束したでしょ
37:08好きでもない人と
37:10一緒になるなんて幸せじゃないわ
37:14大地
37:16大地なくなったお父さんが可哀想よ
37:20お願いお母さん
37:26もう一度考え直して
37:28ねえ
37:30お父さんの思い出だけを大切にして生きていきましょう
37:36ねえお母さん
37:39今レッスンしてるんだ
37:55邪魔するな
37:57やっぱり来てるのねこの子
37:59あなたおめでとう
38:01とうとう加賀純子を連れ戻したよね
38:07はぁ
38:08どうして自分から辞めてった子
38:10無理やり連れ戻すのかしらね
38:12先生
38:15私たちもその辺のことを伺いたいと思います
38:18私たち
38:19殺人者の娘なんかと一緒にレッスンするの嫌なんです
38:23加賀さんが辞めて私たちどんなにほっとしたか
38:28なのにまた連れ戻すなんてどうしてですか
38:31自分から辞めた人を連れ戻す必要はないと思いますけど
38:34みなさん
38:36これでお分かりでしょ
38:38いつか私の言ったことが本当だって
38:42三上は加賀純子に惚れてるわ
38:46いやここをどこだと思ってるんだ
38:50いい加減にしろよ
38:52いい加減にしろよ
38:53先生
38:54奥様がおっしゃったこと本当なんですか
38:56どうなんですか先生そんなの不潔だわ
38:59きっぱりと否定してください
39:01こんな状態じゃレッスンどころじゃないな
39:04ああ
39:07やめてください
39:09先生を責めるのはやめて
39:12悪いのは私なんですから
39:15人口
39:17確かに私は
39:18ここを辞めた身です
39:20なのに先生にお目にかかったり
39:23ちんふらふらと
39:25ここへ来たのは間違いだったんです
39:28そんなことはない
39:29いいえそうです
39:31やめておきながら
39:33未練を持った私がいけないんです
39:37もう来ません
39:39二度と来ませんから
39:42先生を責めるのはやめてください
39:45奥様
39:48皆さん
39:51ご迷惑おかけしました
39:53純子
39:56あなた
39:57あんな小娘に好き勝手のことされるなんて
39:59もう我慢できないわ
40:00どうでもあの子を連れ戻す気なら
40:02スタジオの資金援助やめさせてもらうわ
40:04いかが
40:07それでもやってく自信
40:09終わり
40:39すべて
40:40すべて
40:42すべて
40:44ふと気づくと
40:58純子はビルの屋上の端に立っていた
41:01忍び寄る死が誘惑の手を伸ばし始めたのであろうか
41:07一歩踏み出せば
41:09全ての苦しみ悩み不安は解消されるのだ
41:13純子の心は揺れていった
41:16イナゲダム アフリーズドゥースススススススススススススススススススススス..
41:27この状況の時間が来た
41:30ピンチの独りのパンチの 子供たちのシルエンス
41:32ジュンコ
41:42ジュンコ
41:45ジュンコ
41:45動くなよ
41:47動くんじゃないぞ
42:02ジュンコ
42:32ジュンコ
43:02ジュンコ
43:12ジュンコをめぐるドラマは大きく変転
43:14新たな局面を迎えようとしていた