尾崎豊を語る  幻冬舎 見城徹 + 4月の雨 ポエムリーディング
  • 5 年前
枕の下に 時計を入れてみた

耳を当てると 時は 少し 柔らかに聞こえた

秒針の 残響音が 嫌な感じで

一日の モガキを 奏でて いるようだ

心臓が ドキドキしているのが分かった

喉が渇き 闇を吸い込んでみた

街の影が まぶたに焼き付いている

それを辿ると いくつもの 言葉を失くした 誰かの表情が 隣に いつもあったような気がする

全ての風景に メロディがある 彼は 街の あらゆる オブジェと友達になれた

人は やがて彼を裏切ったが……

煮詰まったコーヒーを出す 寂れた喫茶店

ビルの片隅には 錆びた鉄パイプ

ガードレールの上には 空しい背中が並び

排気ガスを 撒き散らす 車の流れには 諦めを感じた

空は 隠れていた

彼は 手にするものなど 何もないと言って 笑ってみようとしたが…

自分自身に 感じる 何かが 一つでもあれば やっぱり 全ての物に 意味が 隠れているような気がした

背負い込む事などより 優しく 語りかけてあげたいな

だからこそ 君がいて 僕がいて 一つに包まる シーツがあって

君は 昔のことを語ってくれた 僕は ハンドルを握ると 君を掴まえたような気がしていた

雨は 止まなかった ラジオも 途切れ途切れに 耳を澄ました

君の話とDJのおしゃべりと つなぎ合わせながら 僕は あらゆる言葉を 感じて メロディーを奏でた

彼女には 「全く話を聞いていないじゃない」と言って 怒られたけど そこでまた 新しいメロディが生まれたよ……

振り返ると ゴツゴツしていた

最終の電車よりも もっとあとの街にも それでも人は 生きていた

闇の中に 耳を澄ましてごらん 君の 心の叫びは 全ての物との 関わりの中から生まれるんだ