バッハ カンタータ 第146番 1. シンフォニア BWV.146

  • 7 年前
カンターター交声曲には、大きく分けて二種類の形態があります。
ひとつはルーテル派の礼拝の説教の前後に演奏された教会カンタータ。
これはその日に朗読する聖書の部分を歌詞で説明しています。
もうひとつは世俗カンタータと呼ばれる宗教とは無関係のもの。
これは主に領主や貴族の慶事の際に演奏されていました。
バッハで有名なものにコーヒーカンタータなどがあります。
しかしバッハに限って言えば、その作曲数の差は歴然としていて、 教会カンタータが二百曲以上に対して、世俗は二十曲程度です。
これにはバッハが長年、教会のオルガニストとして音楽を作り、
演奏も指導していたことが、大きく影響しているのは間違いありません。
また、バッハ自身が大変信仰に厚い人物だったことも、もちろん理由のひとつです。
二百に上る教会カンタータの内、百七十曲近くの作品が、1723年以降のライプツィヒ時代に書かれていると言われています。
「目覚めよと呼ぶ声あり」のコラール「シオンは物見らが歌うのを聴く」や、 「主よ、人の望みの喜びよ」を含むBWV147なども、 皆こうした多くの教会カンタータの中の一作品です。
BWV146にはある事実が潜んでいます。
それは第1曲と第2曲が、自身のチェンバロ協奏曲からの引用だということです。
チェンバロがオルガンに差し替えられ(オルガンはおそらくバッハ自身が演奏)、 第2曲にはカンタータらしく合唱が加えられています。
どちらがいいとは一概には言えませんが、カンタータの方が奥行きや荘厳さが増しているようにも感じます。
バッハが引用したのも、そうした狙いがあったからかもしれません。
ところで最近、日本のロックバンド、サカナクションの、 「バッハの旋律を夜に聴いたせいなんです。」という楽曲が、YouTube動画などでも大変話題になっています。
ここで言う“バッハの旋律”とはどの曲なのか?についてですが、
歌詞にはチェロというワードがあるので、これは無伴奏チェロ組曲などを想起させます。
そしてもうひとつの手がかりとして、1コーラスの終了後に、チェンバロ(ピアノ)協奏曲第1番第1楽章のカデンツァが、ピアノソロによって奏でられる場面があります。
実際のところどうなのかは不明ですが、サカナクションのファンの方は、そのあたりにも想いを馳せて聴かれると、より面白いかもしれません。
尚、そのカデンツァは今回のシンフォニアの4:08頃にも登場します。

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