シーア派指導者 死刑執行 イランのサウジ大使館襲撃 2016年1月3日

  • 8 年前
シーア派指導者 死刑執行 イランのサウジ大使館襲撃

2016年1月3日 15時41分

サウジアラビアがイスラム教シーア派の指導者の死刑を執行したことを受けて、シーア派の大国イランでは、これに反発する若者らが暴徒化して首都テヘランにあるサウジアラビア大使館を襲撃し、シリア情勢などを
巡って鋭く対立する両国の関係が一層、悪化することが懸念されます。
サウジアラビアは2日、中東の民主化運動「アラブの春」が起きた2011年に、政権に対する抗議デモを主導し宗派対立を扇動した罪などで死刑判決を受けていたイスラム教シーア派の指導者のニムル師について
死刑を執行したことを明らかにしました。
これを受けて、国民の大多数がシーア派のイランでは、若者らが首都テヘランにあるサウジアラビア大使館の周辺で抗議活動を始めましたが、現地メディアによりますと、一部が暴徒化して大使館に侵入し、
火を放つなどしたということです。
けが人などは確認されていませんが、当時の現場の様子だとしてインターネット上に投稿された画像には、施設内から炎が高く上がっている様子などが映っています。
若者らは治安部隊によって排除され、事態を受けてイラン外務省は声明を出し、サウジアラビアの外交施設の安全確保に努める姿勢を強調しました。
イスラム教スンニ派が支配するサウジアラビアとシーア派のイランはシリアやイエメンの情勢などを巡って鋭く対立していて、今回の事態をきっかけに両国の関係が一層悪化することが懸念されます。

・国連事務総長 死刑執行に「非常に失望」

サウジアラビアがイスラム教シーア派の指導者らに対して死刑を執行したことについて、国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長は2日、報道官を通じて声明を発表し「非常に失望している。シーア派の指導者の処遇を巡っては、
これまで再三サウジアラビア側に働きかけてきた。国際社会で死刑を廃止する動きが広がるなか、改めてすべての死刑囚に対する刑を減刑するよう求める」と強い懸念を表明しました。
また、シーア派の大国イランで若者らが反発を強め、サウジアラビア大使館を襲撃し緊張が高まっていることについて「各国の指導者はこれをきっかけにイスラム教の宗派間の緊張が高まらないよう努めなければならない」と述べ、
イランとサウジアラビアの双方に冷静な対応を求めました。

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