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タテゴトアザラシ~親子の絆を撮る~Part1

4 年前695 views

samthavasa

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2012.4.15大海原に広がる氷の大地・・・この地で数々の新たな命が誕生する。
タテゴトアザラシ愛くるしい姿で人々を魅了する。
ほ乳類でありながら、大海原で生き抜くための驚くべき能力を持つ不思議な生き物。
母親から、生きるための術を教わり、母と子は永遠の別れを告げる・・・。
やがて迎える巣立ちに向かって、子供たちは自然の厳しさを体験していく。
今夜はタテゴトアザラシの不思議な生態と流氷の上で育まれる親子の絆をご紹介します。


2月下旬。
寒さ厳しいカナダ東部に一人の男の姿があった。写真家・小原玲。
流氷の上で育まれる野生の姿をカメラに収めるためにこの地へやって来た。小原はこれまで、マナティー、ホッキョクグマ、プレーリードッグなど、愛らしくも逞しく生きる動物達を数多く撮影してきた。
今回カナダで彼が狙うのは・・・タテゴトアザラシ。しかも生まれたての赤ちゃんだ。
今から22年前、雑誌に掲載された写真がきっかけとなり、動物写真家として小原の名前が知れ渡ることになる。
小原「アザラシの赤ちゃんの写真を雑誌で掲載したら、発売日に電車の中で女の人がずっと見てたんです。
最後、定規を使って切り抜いて手帳に挟んで行ったんですね。こんなに自分の写真を大事にしてくれる人がいるんだと知って、自分が見て嬉しかった事、人に伝えたい事。それを伝える写真の被写体として、アザラシの赤ちゃんを大事にしています。」
小原は以前、報道カメラマンだった。戦争や紛争地の取材を続け、幾度となくスクープ写真を撮ってきた。
小原「報道写真家として、私は紛争地を回っていて、さすがにあまりにも人間の悲しみを見過ぎた。
そんな感じになっていました。このままでは写真が嫌いになってしまうなっていう。そんな感じがして、何か違う物を撮ってみたかったんです。そして、出会ったのがアザラシの赤ちゃんで、私はアザラシの赤ちゃんの魅力に惹かれて動物写真家になる決心をしました。」
小原が毎年のように撮影に訪れるのは、カナダ東部のマドレーヌ島という小さな島。
夏には避暑地として賑わう、自然豊かな島だ。冬になると-30℃にも達する、極寒の地となる。
マドレーヌ島のあるセントローレンス湾は通常、2月の終わりから3月にかけて流氷に覆われる。
そして、その流氷の上でタテゴトアザラシたちは出産と子育てを行うのだ。しかし、ここ数年、流氷が少ない年がある。
氷が減ると、タテゴトアザラシの出産場所も減ってしまう。つまり可愛い赤ちゃんアザラシに出会える可能性が少なくなるということだ。
小原「昨年と一昨年、このセントローレンス湾に十分な流氷がなくて・・・。20年前写真を撮り始めた時にまさか流氷がやってこない年があるなんて、思いもしませんでした。そこに地面があるように、そこに氷がある。それが冬の流氷だったんです。」
今年は流氷がやって来るのだろうか?そしてアザラシの赤ちゃんに出会えるのだろうか?
夜明けと共にヘリコプターで流氷を探す。出発からおよそ30分。流氷だ!かなり多くの流氷が湾を覆っている。
そして、タテゴトアザラシたちがいた。小さく、黒く、点々と見えているのがアザラシたちである。
アザラシたちに刺激を与えないよう、彼らから離れた流氷の上に降り立つ。いよいよ、久しぶりにアザラシたちにあえる。小原はさっそく撮影を開始した。大人のタテゴトアザラシだ。
英名:ハープシール。名前の由来は背中にあるこの模様が西洋の竪琴、ハープに似ていること。
果たして、今年、出産は行われているのだろうか? ・・・と、その時、鳴き声が聞こえてきた。
いた! タテゴトアザラシの赤ちゃんだ。生後5日目くらいだという。今年、出産が行われていたのだ!
『ホワイトコート』と呼ばれる、白銀の毛で覆われた赤ちゃん。この色が、流氷の白と同化し、保護色となって敵から発見されにくくしてくれるのだ。
何かを求めるかのように、鳴く赤ちゃん。そう、母親のおっぱいを飲みたいのだ。赤ちゃんの要求に応えるように、母親は、お腹を見せる。生まれてからおよそ2週間は母乳だけで育つタテゴトアザラシ。
生まれたばかりの体重がおよそ8kgほどなのに対し、この生後5日くらいの赤ちゃんはおよそ20kgにもなるという。タテゴトアザラシは、なぜ、不安定ともいえる流氷の上で出産するという戦略を選んだのだろうか?
毎年、調査研究を行っている海洋生物学者、マイク博士に伺った。
マイク博士「私が思うには、おそらく捕食動物から逃れるためでしょう。流氷には多くの捕食動物たちがやって来る事ができません。」
もし陸上で出産をするとやはり危険なのだろうか?
マイク博士「その場合、鷲がアザラシの子供達を捕まえてしまうでしょう。他の肉食獣も同様です。母親もそれを阻止することはおそらくできません。コヨーテの様な小さな生き物でさえ、簡単に捕まえるでしょう。」
流氷はタテゴトアザラシにとって、命のゆりかごなのだ。

一組の親子の近くに、流氷に空いた穴がある。この穴はシールホールと呼ばれ、複数の大人達が氷を掘り共同で使う。
母親は子育て中、この穴から海に潜り、エサを採りに行く。赤ちゃんはまだ泳げないため、一人、氷の上で母親が帰ってくるのを待つ。タテゴトアザラシはおよそ200mもの深度まで潜ることが可能と考えられている。
しかしどれぐらいの時間、潜水していられるかは、まだ明らかになっていない。陸上のややぎこちない動きに比べ、水中での彼らはとても優雅だ。(ひと間)主に後ろの鰭で推進力を生み出し、前の鰭は方向転換などの時に舵の役割を果たす。氷の上で母親を待つ赤ちゃん。母親は長い時には半日戻って来ないこともあるという。この地の天候は変化が激しい。
時にはブリザードもやってくる。激しい吹雪の時には、ここで命を落としてしまう赤ちゃんもいるという。
母親がやっと戻ってきた。ついに待ちに待ったおっぱいが飲める。しかし、母親に甘えられる時間はあと僅かしかない。実は、タテゴトアザラシの子育ては長くても2週間程しかない。およそ2週間後には母親は子供の元を離れてしまうのだ。4月の終わり頃まで、このセントローレンス湾付近で過ごしたアザラシの群れは、やがて北の海へと戻っていくのである。
小原「たった2週間の子育て、非常に短いんですけども生命の誕生と母子の愛情。それが凝縮されているんですね。子育ての期間は短いけれど、何か自分も一緒に子育てをしているような感情になりますね。」

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