精神科40年の社会的入院 60歳からの青春 STOP 病棟転換施設 
  • 10 年前
3年前の原発事故をきっかけに、およそ40年ぶりに社会に出た人がいます。時男さん(63)。10代の時に統合失調症と診断されて以来、ずっと精神科病院で入院生活を送っていました。ところが、入院していた病院が原発事故で突如閉鎖。入院中から症状は安定しており、十分に地域で暮らすことができることから、現在は群馬県のグループホームで暮らしています。

精神疾患で1年以上の長期入院を続けている人は、国内に20万人以上。その中には時男さんのように、本来なら退院して社会で暮らせるはずの人が数多くいるといわれています。しかし、国の“地域移行”への取り組みの遅れや、入院の長期化に伴う社会の中での居場所の喪失などによって、何十年も病院に“住む”しかない状況が、依然、続いているのです。この実態は「社会的入院」と呼ばれます。日本国内の精神科の平均在院日数は、他の先進国が1〜2週間程度であるのに比べ、283日と圧倒的に長く、「社会的入院」は国際的にも問題視されています。

規則の厳しい入院生活から、地域に出て自由に暮らせるようになった時男さん。いま時男さんは、失われた“青春”を取り戻すかのように、毎日新しい発見の中で暮らしています。どうすれば必要のない入院を減らせるのか。時男さんの姿を通じて「社会的入院」を考えます。

国や病院側は「社会的入院」を解消するため、新たに「病棟転換型居住系施設」をつくり、退院と「地域移行」を促すといいます。

一方、精神疾患の当事者たちや、地域で当たり前に暮らせる「地域移行」を目指してきた関係者たちは、病棟を住居に転換した施設では、単なる“カンバンの掛け替え”に過ぎず、これまでの精神科病院のあり方の、根本的な改善にはならないと危惧を抱いています。今年、「障害者権利条約」の批准国となった日本。本人の意思を置き去りにした「社会的入院」は、権利条約違反です。誰もが人として当たり前の暮らしができる社会作りが必要です。
http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/700/188176.html

■NPO大阪精神医療人権センター 山本深雪さん。
 http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/700/189943.html

病棟転換型居住系施設について考える会
http://blog.goo.ne.jp/tenkansisetu
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