20131021 学徒出陣 慰霊碑撤去前の「最後の」追悼会

  • 10 年前
戦時中、今の東京の国立競技場で、学徒出陣の壮行会が行われてから21日で70年となり、90歳に達した元学徒らが、競技場にある慰霊碑の前で、追悼会を行いました。
慰霊碑は、7年後のオリンピックに向けた競技場の建て替えで、いったん撤去されることになり、この場所での追悼会は今回が最後かもしれないと話しています。

太平洋戦争中の昭和18年10月21日、明治神宮外苑競技場で学徒出陣の壮行会が行われ、多くの学生が、女子学生らに見送られて、学業の志半ばで戦地に赴きました。当時、壮行会が行われた東京・新宿区の国立競技場には慰霊碑が建立され、元学徒らが、毎年、追悼会を行っています。
70年となる21日も、元学徒や遺族などおよそ100人が出席し、全員で黙とうしました。
元学徒を代表して、大学3年の時に壮行会で行進し、フィリピンや台湾に派遣された寺尾哲男さん(90)が、「数年後、私たち元学徒はほとんど生きていないと思うが、この碑を残すことで、戦没した仲間を慰霊するわれわれの気持ちを伝えたい」とあいさつしました。
慰霊碑は学徒出陣から50年の節目に元学徒が呼びかけて建立されましたが、さらに20年がたち、元学徒は90歳に達していて、建立に関わった15人のうち、21日参加できたのは3人でした。
出陣した学生は、およそ5万人とも10万人ともいわれていますが、国に記録が残されておらず、今も全体像は分かっていません。
一方で、慰霊碑は、7年後のオリンピックに向けた競技場の建て替えで、来年夏には、いったん撤去されることになっています。
寺尾さんは、元学徒によるこの場所での追悼会は、今回が最後かもしれないとしたうえで、「2度と戦争があってはならないという意味を込めた慰霊碑なので、競技場が新しくなったあとも碑を残してもらいたい」と話していました。学徒出陣の慰霊碑について、東京の国立競技場を運営する独立行政法人、日本スポーツ振興センターは、「国立競技場の建て替えに伴う今の競技場の解体工事のため、来年の夏にはいったん碑を移動させなければならない。石碑そのものは残す方針だが、競技場の敷地内に戻せるかどうかは、新しい競技場の設計が決まるまで分からない。有識者を交えて議論し、対応を検討していきたい」と話しています。

お勧め