検索履歴をすべて削除しますか?

削除しない場合はキャンセルを選択してください

フルスクリーンで見る

幻の声と統合失調症 ヒアリング・ヴォイシズ

Marco Cavallo
6 年前|2.9K 視聴
ヒアリング・ヴォイシズ(Hearing Voices,聴声現象)、日本では臨床心理士の佐藤 和喜雄さんらが取り組んでいる。

<ヒアリング・ヴォイシズ(声がきこえる)>
 ヒアリング・ヴォイシズ研究会代表 佐藤和喜雄

 誰もいないのに声がはっきりときこえる。誰々の声だ。いや誰の声か分からない。……
 このような話を聞けば、多くの人はたぶん「幻聴」という言葉をすぐ思いつくでしょう。それほど、この言葉は日常語になっていますが、それは「幻」だからきこえるのは症状だという考えが前提に含まれています。

 周囲にそれと分かるような刺激がなくても「声がきこえる」という体験は、精神医学では、「幻聴」という症状として、精神医療の対象とされています。しかし治療を受けていても、「声」のために普通の生活をかき乱されるなどの苦しみが続く人も多くいます。逆に、「声」がきこえていても精神医療を1度も受けないで、その人らしい生き方を築いている人々もいることは、あまり知られていませんでした。ヒアリング・ヴォイシズという取組は、きこえる体験をそのまま「ヒアリング・ヴォイシズ=声がきこえる」という言葉でとらえなおし、体験者の言葉を大事にしながらその体験への理解・対処・支援について学び、きこえる本人の自己理解と関係者の理解や視点の拡大をすすめようとする研究と支援活動 Research and Empowerment です。
 1987 年にオランダの社会精神医学教授ロウム博士と、彼が長年みていた患者さんで「声」に苦しんでいた女性と、地域精神保健センターのエッシャーさんが共同で、教授とその患者さんがテレビで彼女の「声」について語り合うという、思いきった企画を生みだしました。これに端を発して、多くの「声をきく」体験者が集まって体験を自分の言葉で語り合うようになりました。ロウムさんらはそこから多くを学び、研究し、その成果を世界的な精神医学雑誌 Schizophrenia Buletin(15 巻 2 号、’89)に発表しました。以後この取組は年々欧州から世界に拡がり、国際ネットワークを形成するに至りました。

 この取組では、あなたは声のきこえる人に対して、まず声の体験にありのままに耳を傾け、驚きや恐れの気持ちを共感しようとします。もしきこえる人が声に命じられるままに危険なことをしかねないと感じて自らこわがっていたら、あなたはどうしたらその人の助けになるか、また、その人自身が経験上どのように対処したら良かったかを尋ねます。
 困らせる声の勢いが弱まっている時には、どんな声がどんな時にきこえたのか、その頃どんな生活状況や環境にあったのかなどを、その人が落ち着いて考えられるように尋ね、その人が声のことをより良く分かり、どう対処するかを見つけるよう手助けします。そういう話がグループでできれば一層支え合い学び合えます。
 そのようなサポートがあれば、人は声と自分の関係で、驚愕期、構成期、安定期というような変化を体験しながら、声がきこえることを受け入れて、これとつきあう方法を見つけ、更には声をきっかけに、人生をより自分らしい方向へと新たに発展させうる人もいることが、一連の研究と支援活動から分かってきたのです。これはまさに障害や病気の概念でいえば受容と引き受けです。声がきこえることを受容するとは、上記のような方向で人生を新たに引き受けることでしょう。家族、友人、精神保健の関係者らは、体験者のそのような人生の探究に、どのように添って手助けができるかを探ることになるでしょう。
 日本では 93 年にロウム博士らの論文の和訳「ヒアリング・ヴォイシズ」が「臨床心理学研究」に掲載され、96 年にその別刷り頒布の活動が始まるとともに、同年日本で初めて岡山県でヒアリング・ヴォイシズ研究会が、声をきく体験者と主に精神保健福祉関係者等によって開催されました。この新しい考え方が、新鮮な驚きと何かほっとするような気持と熱心さで学習され始めました。この年はオランダの研究チームの 一人、心理学博士 B. エンシンクさん来日の機会に、講演会も開催されました。大阪 ―東京―岡山で連続開催された講演会の参加者は1割以上「声」の体験者を含んで、 合計 420 名を越えて大好評で、今後への期待が沢山寄せられました。
 このあと岡山の研究会は、例会の隔月開催、ニュースレター発行、事務局づくり、年会費と会員制度等を決めました。このことは連続講演で現われた全国の人々の熱意とニーズに応える活動が各地で生まれ育つのを助けるための足場となりました。実際99 年 2 月に関西支部例会が開催され、現在まで続いています。

 95 年に初めて国際会議がオランダで開催され、98 年にヒアリング・ヴォイシズ国際ネットワークが「インタヴォイス」と命名されてイギリスに事務局をもち、99 年にはニュースレター1 号が発行されるなど、国際的活動が展開されています。2000年 9 月、日本臨床心理学会総会の特別講演に招かれたマリウス・ロウム博士、サンドラ・エッシャーさん、ロン・コールマンさんらは大きな感銘を与えてくれました。(以下、一部略)

<ヒアリング・ヴォイシズ研究会事務局>
〒719-0111 岡山県浅口市金光町大谷301-1 菩提樹気付
FAX:0865-42-6576

他の動画を閲覧