プレイヤーにスキップメインコンテンツにスキップフッターにスキップ
  • 2013/5/11
今回の特命ディレクターが選んだ取材テーマは、首都圏の放射能汚染について。黄色いエリアは、環境省が指定した健康な人が浴びても影響がないとされる年間被ばく線量1ミリシーベルトを超える地域です。福島県外の首都圏にまで広く及んでいます。国や自治体は今、毎時0.23マイクロシーベルト以下を基準に除染作業に当たっています。しかし取材を進めると、この除染をめぐり様々な問題点が見えてきました。

首都圏で見つかる放射能汚染

茨城県取手市。ここはある子どもの施設。

岡田幸彦:
茨城県の子どもの施設で、今日ボランティアが除染をしていると聞きやってきました。
早速行ってみたいと思います。

この日は行政ではなく市民のボランティアが除染活動をしていました。

向こう側に0.3(μシーベルト)以上のところがあるので、
最初にそちらをやりたいと思いますので

ここは去年(2012年)11月、市が一度除染した場所
しかし…

これですね、これ。
踏むとわかるんですけど、このスポンジ、ここに(放射性物質が)溜まっちゃってるんで。

0.31の…0.23(マイクロシーベルト)

高い放射線量です。
マットを取り除くと0.31から0.11マイクロシーベルト/時にまで下がりました。

金田一義さん 放射能除染市民ネットワーク:
重機が入らないので、結局人力でやるしかないので、
どうしても行政だとここまではできないんでしょうね。

取手市だけではありません。
千葉県の松戸市。
こちらも行政の除染が追い付いていません。

岡田:やっぱり小さいお子さんがいらっしゃると不安?

松戸市民:そうですね、小学校でもよく言われます、はい。

子どもの住む家を優先的に除染するという松戸市。
何故除染作業が追い付かないのかたずねてみると、申し込みが殺到していました。

林真弓さん 松戸市環境部放射能対策課:
これが住民の方から申し込みがあった、申込兼同意書でありまして、
申し込み全体で1万3000件を超えています。

岡田:そのうち除染が必要だとなったのは何軒位あるんですか?

林:計測の結果除染が必要となったのが約6900件です。

除染が完了した住宅はまだ4割。
約2600件。
市の財政負担も10億円に上ります。
国からの補助金も遅れているため松戸市の除染は現在中断しているといいます。

江部昭夫課長 松戸市環境部放射能対策課:
やれる取り組みをやって、
その先に市民のみなさまが、どう安心を感じていただけるかだと考えております。

なぜ“除染格差”? 自己負担45万円

住宅の除染をめぐっては、国は福島県以外には雨どいの清掃、庭の除草などに飲み補助金を出しています。
しかし、こうした国の方針そのものに異議を唱える自治体も現れました。

放射線量が福島県並みに高い場所がある栃木県那須塩原市です。
(0.5マイクロシーベルト/時を超える場所も)

岡田:
ここ那須塩原市では国の除染メニューでは不十分だという事で、
市の独自の除染メニューを行っています。

これは除染効果が高い表土の除去。
国の補助金の対象ではありません。
独自に福島県並みの住宅除染をする那須塩原市では、除染の費用は約70億円に達する見込みです。

田代宰士副主幹 那須塩原市放射能対策課:
福島と同様のメニューを認めていただきたいというのをですね、
これは機械があるごとに国の方に働きかけをしておりますが、
国からはよいお返事が無いと。

5月1日 栃木那須町

こうした中、除染のしわ寄せは一般家庭にまで広がっています。
この家の周りの放射線量は0.4マイクロシーベルト/時以上。
この日除染を手掛けるNPOが室内の放射線量の測定に来ました。

大笹貴靖事務局長 除染を担当した那須希望の砦(NPO):
天井裏に埃が溜まっているじゃないですか。
その埃も汚染されていますから。

除染を依頼した人:ああ・・そう…

大笹:だからそこもクリーニングしないと、

こちらの家では表土除去も行いました。
除染費用は総額65万円。
那須町からは20万円までしか補助が出ず、45万円は自己負担です。

除染を依頼した人:
憤りを感じますけど。
そういうふうにちゃんと行政でやってくれるところもあるのに、くやしいですけど、
でも待ってても子どもはずっとね、室内で被ばくをし続けてしまうので、
もう…しょうがないっていうか、はい。

大笹:
もうちょっと行ったら福島県なんですけどね、
県境過ぎてこっちになると、
同じ線量なのに「栃木県だ」というだけで、
さっきのあれじゃないですけど、どうも個人負担が多くなると。

首都圏の除染の負担をどうするのか。

環境省は「必要かつ合理的な範囲の費用は財政措置の対象」だとしています。
しかし、現状の除染で一定の効果が得られるとして負担には応じない考えです。

そこで、環境省のトップ石原大臣に直接聞いてみる事にしました。

岡田:
住民が負担と責任を背負う形になってしまうというケースも散見されるんですが、
これに関して救済の余地はないのでしょうか?

石原伸晃環境大臣:
あの、ミクロの点についてはミクロの話でございますので、
知見を持っておりませんのでコメントをさし控えます。

首都圏で進むもうひとつの放射能汚染。
このままでいいのでしょうか?

終わらない放射能汚染
負担は自治体・個人に

大浜平太郎:
今回環境省からはこう言った回答が返ってきました。

まず一つ目。
「今のやり方でも一定の除染効果は出ているんですよ」と。

二つ目はこちらなんですが、
「除染に伴って出る土壌や廃棄物が膨大になると保管に支障が出る」

これ、要するに限定的な対応もやむを得ないんだという考え方なんですけれども、
ただご覧いただいたように現実的には地元の自治体のみなさん、個人のみなさん対応に困っていて、
自治体の負担、個人の負担にゆだねているような状況ですよね。
これで本当にいいのかどうかですよね。

これなかなか注目されないんですが、
これは終わった問題じゃなくて今まさに起きている問題ですからね。

前田真理子:はい

カテゴリ

🗞
ニュース

お勧め