モンサントと立ち向かうカナダの農民  農業の多様性・食料の未来

  • 11 年前
(26分)巨大バイオ企業モンサントは世界の農業を支配するために、農家を破滅させるとんでもない訴訟をおこす。モンサントの農薬ラウンドアップは、どんな植物も枯らす強力農薬。しかしモンサントの遺伝子組換えナタネは平気だ。隣の畑から飛び散った種子がシュマイザーさんの50年かけて品種改良したナタネに交配して被害を受けた。しかし、モンサントはシュマイザーさんに特許侵害と訴訟をおこしたのだ。「自然光は医だろうが飛ばされた種の自生でも関係がない」「遺伝子に知的所有権がある。作物を差し押さえつ、廃棄させることもできる」100万ドルの賠償を求めた。しかし、シュマイザーさんは、『農民は自分お種を改良する権利がある』『生命体は不可侵だ』最高裁まで争った。脅迫や監視にさらされながらシュマイザーさんは農民の権利を賭けて、モンサントと闘った。
 ドイツのボンに集まった約80人のライトライブリフッド賞受賞者たち中に、カナダの農民パーシー・シュマイザーの姿がありました。受賞理由は、生物多様性と農民の権利を守るための勇気ある行動、すなわち巨大バイオ企業モンサントに対して戦いを挑んだダヴィデのような行動です。その発端は、隣家が育てていたモンサントの遺伝子組替えナタネの花粉が風で飛ばされシュマイザーの畑に混入し、50年かけて改良を重ねた自家開発の品種を汚染した事件でした。取り返しのつかない損失に打ちひしがれるシュマイザーに追い打ちをかけるように、モンサントは自社のGM種子を無断で栽培したとしてシュマイザーを特許侵害で訴え賠償金を要求したのです。あまりの理不尽と傲慢なやり方が彼を奮い立たせ、農民の権利のための戦いが始まりました。シュマイザー夫妻の戦いの記録を通じて、モンサント社と遺伝子組換え産業の危うさが浮き彫りになります。
世界の遺伝子組み換え(GM)種子パテントの9割を持つというモンサント社は、自社の開発した種子の他はどんな植物も枯らしてしまう強力除草剤ラウンドアップとのセットで世界中にGM種子を売りこんでいます。化学薬品の使用を減らし、収穫も増えるという触れ込みに、カナダをはじめ各国政府は十分な安全性の試験もなくモンサントのGM種子を承認しました。しかし、農民に種子の保存を許さない一方的な契約、違反行為の監視や訴訟を武器にした農民への脅し、金を使った政治家への働きかけなど、自社の遺伝子特許利権を守るための強引なやり方には欧州を中心に批判がたかまってきています。

もちろん、遺伝子組み換え種子種が生物体系に及ぼす影響も大いに危惧されます。例えばターミネーターと呼ばれる自殺種子は、実を結んでも発芽しない遺伝子が組み込まれています。農民に毎回かならず種子を購入させるための発明ですが、そんなものが在来種と交配すれば、在来種も発芽しなくなってしまいます。私企業の都合のために種子の未来が脅かされるなど、とんでもないことです。
  こんなものが出てくる背景には、遺伝子という生命の根源に特許権を認め、特許権の管理を通じて地球の共有資産であるはずの種子の流通と多様性を支配するという考え方があります。世界の食糧生産の支配をもくろむアグリビジネスの野望に、シュマイザーは鋭い警鐘を鳴らします。

パーシー・シュマイザー(Percy Schmeiser)
カナダの農民 1997年にライトライブリフッド賞を受賞
Democracy Now!  http://democracynow.jp/