脳がよみがえる 脳卒中・リハビリ革命 / 促通反復療法 川平和美教授
  • 12 年前
「4年間リハビリを頑張ってきても動かなかった指が、わずか10分の訓練で動き始めた」。今、脳卒中の治療で新たなリハビリが次々に開発され、驚異的な効果を上げている。約280万人にのぼる脳卒中患者、医療の発達で命を落とすケースは減ったものの、マヒの問題は深刻で、介護が必要になる原因の第一位だ。解決にはリハビリが重要だが、発症後6ヶ月を超えたあたりから効果が落ちるとされてきた。しかし最近、脳科学の急速な発達により、傷ついた脳が再生するメカニズムが次第に明らかになり、時間を経過した患者でも、マヒを改善する手法が発見されている。リハビリの効果を上げる誰でも出来る意外な方法や、脳波とマシンを連動させる最新科学まで、脳卒中リハビリの最前線で起きている急激な変化を取材、人間の脳に秘められた驚きのパワーに迫る。キャスターの藤田太寅さんは自らも脳卒中を経験、今もリハビリを続けている。

■脳卒中に新リハビリ法 鹿大霧島・川平教授が開発
<2006年2月6日 西日本新聞>
http://bit.ly/qFz0E7

 ●まひ部位操作し神経回路強化 損傷細胞の「代行」促す 軽~中度患者中心に成果
 脳卒中による片(かた)まひ(半身不随)は機能回復が困難とされてきた。一度破壊された神経細胞は再生しないため、まひは回復しないと考えられてきたからだ。しかし、鹿児島大病院霧島リハビリテーションセンター(鹿児島県霧島市牧園町、センター長・川平和美(かわひらかずみ)教授)が昨年、脳の神経回路を強化して機能回復を促進する新たなリハビリ法を開発。軽~中度のまひ患者を中心に成果を上げている。 

 ●可塑性を生かす
 川平教授によると、片まひ患者のリハビリは、まひがない方の半身を鍛えて、歩行や日常生活を送れるようにするのが目標とされてきた。
 しかし、脳科学の進歩で、脳の一部が破壊されても、損傷を免れた他の部位が損傷した部位の役割を代行する能力(可塑(かそ)性)があることが明らかになってきた。
 まひした部位のリハビリ法には、まひのない手足を使えないようにしてまひの回復訓練をする「拘束療法」もあるが患者の負担が大きく、非効率的。川平教授は刺激が伝わりさえすれば損傷した部位の代役を果たす脳の神経回路がどんどん強化されることに着目した。
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