「空」からの地球温暖化対策への協力-森林火災の発見-(JAL)
  • 14 年前
地球の森林面積の約3割を占めるシベリアのタイガ(冷帯針葉樹林)は、かつて世界最大の二酸化炭素(CO2)吸収源と言われていました。しかし、最近は、落雷などの自然現象をきっかけとした火災だけでなく、たき火の不始末などの人為的要因による火災が頻繁に起こり、逆にCO2を排出する原因となっています。タイガの地中に眠っている永久凍土が溶け出せば、より深刻な地球温暖化の原因となるメタンガスが大量に放出される危険性もあります。

こうした森林火災を防ぐ研究のため、JALのパイロットたちが行っているのが、森林火災の通報です。北海道大学やJAXA(宇宙航空研究開発機構)など、各研究機関からの要請を受け、2003年から始めました。今では、欧州便に携わるパイロット全員が、この火災通報活動に協力しています。世界の航空会社でも他に類をみないこの取り組み。普段から「環境のために何かをしたい」と願うパイロットたちの気持ちがあってこそ実現した協力関係です。

高度1万メートルの上空では、雲がなく条件がよければ、約400キロ四方が見渡せます。パイロットは火災と思われる煙を発見したら、GPSなどでおおよその位置を特定し、無線機器を使って通報します。その情報を受け取ったJAL・オペレーションコントロールセンター(OCC)の社員は、情報を必要なフォーマットに入力し、JAXAに送信します。2006年は138件、2007年は167件の火災を報告しました。

パイロットたちの活動はこれだけにとどまりません。社内に「地球環境委員会」を発足し、地球環境にやさしいフライト、つまりCO2の排出量をできるだけ減らした飛び方を研究しています。機体の重量に応じた燃料効率のよい高度を保つ、着陸後、エンジンを1つ止めて燃料を節約するといったノウハウも、このプロジェクトを通じて全乗務員に浸透しました。子どもたちに地球環境の大切さを伝える講座「そらいく」も、その一環です。

空を仕事場にしているからこそ、身近に感じる地球温暖化の現状。氷が減少したアラスカの海や、変化した大気の流れに気がつくたびに、何とかしなくてはと強く感じます。だからこそ、環境のために何かできることがあれば、全乗務員がどんどん協力していきたいと思っているのです。
お勧め