~特集~アニメ「石膏ボーイズ」がシュールすぎるw

  • 8 年前
2016年3月から4月にかけてフィナーレを迎えた作品をアニメライターが総括レビュー。OADからTVアニメ化の「昭和元禄落語心中」、士郎正宗原案の電脳アクション「紅殻のパンドラ」、シリアスなほうの異世界もの「灰と幻想のグリムガル」、コミカルなほうの異世界もの「この素晴らしい世界に祝福を!」、石膏像アイドル4人組「石膏ボーイズ」の5作品をラインアップ!


昭和元禄落語心中

石田彰、山寺宏一、関智一と豪華声優陣が本格的な落語に挑んだ冬クールの話題作。死神、芝浜、夢金、子別れ、出来心など数々の演目を、ときには演者だけを描く正攻法で、ときにはイメージ映像も交えた変化球で、手を替え品を替えて表現していった。
第11話で菊比古が演じた「野ざらし」では、落語を辞めたはずの助六が乱入し、2人で即興の夫婦落語を披露。ブランクを感じさせない軽快な掛け合いを見せた。助六の手には菊比古から奪い取った扇子がしっかりと握られていたが、あれはかつて菊比古に渡したものなのだろうか。すでに第2期「助六再び篇」の制作も決定済み。オンエア時期の続報を待ちたい。


紅殻のパンドラ

原案・士郎正宗、漫画・六道神士による人気コミックをアニメ化。全身義体の少女・七転福音がネコ耳美少女型の戦闘用アンドロイド・クラリオンと出会い、人工リゾート島の平和を守るために戦うSFアクションだ。士郎正宗作品のアニメと言えば「攻殻機動隊」シリーズや「ブラックマジック M-66」などスタイリッシュな描写が魅力だが、本作は女性キャラのかわいらしさを前面に押し出している。「パンドーラ・デバイス」によってさまざまなスキルを使いこなすシーンでは衣装まで変化し、魔法少女もののテイストさえ感じられるほど。「高度に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」というクラーク第三法則を地でいく世界観である。
突然キャラがデフォルメされたり手書き文字が多用されたりと、電脳表現なのかアニメ的なお約束なのかわからないカオスさも面白く、サイバーパンクはコメディタッチのほうが合うのではと思ってしまう。「攻殻」でおなじみの田中敦子や、俳優の森田順平など、豪華キャストによる生き生きとした芝居も見どころ。


灰と幻想のグリムガル

異世界へ転生するアニメは現実世界に未練がある作品とない作品に分けられるが、本作は圧倒的に前者である。主人公たちは記憶すら持たないものの、その身振りは自然と現実世界を指向している。モグゾーが異世界には存在しない飛行機の彫刻を無意識に作ってしまうシーンはその最たるものだ。グリムガルではハト、スズメ、カラスと鳥だけは現実と同じ姿をしているのも、彼が飛行機を彫った理由のひとつだろう。
それゆえにグリムガルでの日々は、なくしてしまったものを取り戻し、やり残したことを成し遂げる旅へ変わっていく。ハルヒロはゴブリンに奪われたナイフを取り返し、メリイは失った仲間の呪いを解こうとする。次第に異世界での生活に慣れながらも、忘れないことを決意する最終話のモノローグが爽やかな余韻を残す。


この素晴らしい世界に祝福を!

こちらは「灰と幻想のグリムガル」とは正反対で、現実世界にまったく未練のないところが潔い。現世の記憶は残しているが過去を振り返ることはなく、全力で異世界を生き抜いていく。第9話「この素晴らしい店に祝福を!」ではサキュバスに淫夢を見せてもらうという、異世界においてさえ夢という理想を追い求める攻めの姿勢で私たちを驚かせた。
下半身の描写に力を注いでいた「グリムガム」に対し、こちらは上半身を強調しているのも好対照(女性キャラはノーブラだ!)。さらに新鮮なカニまで食べ放題なのだから、もはや現実に帰還する意味がわからない。この勢いのまま第2期も邁進してほしい。


石膏ボーイズ

聖ジョルジョ、メディチ、ヘルメス、マルスの石膏像が、歌って踊れるアイドルを目指すシンデレラストーリー。「おそ松さん」には、似てるけれど簡単に見分けの付く6つ子が登場していたが、「石ボ」は、聖人・貴族・神と種族さえ違うが何故か見分けられない4人組が主人公。はじめは美術デッサンの課題にしか見えないものの、回を重ねるごとにそれぞれの個性が浮かび上がってくる。
いつも眉間に皺を寄せているジョルジョ、車移動時にチャイルドシートを着用するメディチ(最年少だから?)、左肩にディオニーソスが乗ってるヘルメス、全裸メットのマルス。そんな彼らをひと目で判別できるようになったとき、あなたはすでに石膏ボーイズの虜になっているはずだ。

引用:akiba-souken.com

お勧め